『週刊ダイヤモンド』9月18日号の第1特集は「東証再編 664社に迫る大淘汰」です。東京証券取引所の1部、2部、マザーズ、JASDAQが来年4月に廃止され、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編されます。再編で淘汰される企業と生き残る企業はどこか。企業、投資家、金融機関、そして再編を仕掛ける東証――。さまざまな思惑が交錯する大騒動の最前線に迫ります。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

プライムを阻む流通株式時価総額100億円の壁
転落間際300社、「逆転上場」期待の277社を独自判定

 来年4月の再編で新たに最上位となるプライム市場の基準に満たない1部上場企業は、7月9日時点で664社だ。この大半の企業が今、実は同じ“壁”にぶつかっている。それが「流通株式時価総額100億円以上」というプライム上場基準だ。

 流通株式は、上場企業の発行済み株式から、株式を10%以上所有する主要株主や役員が所有している株式、自己株式など流動性が低い株式を除いたものをいう。また東証は今回から、経営の安定化を目的に企業同士が持ち合う「政策保有株式」についても、流通株式に認めていない。企業とすれば、より厳しい基準となる。

 これら東証の定義にのっとり、今回ダイヤモンド編集部では、独自に流通株式時価総額を算出。この流通株式時価総額が低い順に300社を並べたランキングを作成し、本誌に掲載した。

 ただし300社が全てプライムから脱落するかといえば、話はそう単純ではない。

 なぜなら、300社の“懐事情”はさまざまだからだ。自社株買いや配当などの株主還元や成長投資に回す手元資金があれば、その企業は現在の流通株式時価総額を「100億円以上」に高められる可能性がある。

 そこでダイヤモンド編集部は、プライム不合格の1次判定を受けたとみられる企業の時価総額をネットキャッシュで割った「ネットキャッシュ倍率」を算出。ネットキャッシュがプラスとなったプライム未達の企業277社のうち、この倍率が低い順にランキングも作成した。

 ネットキャッシュ倍率が低いほど、実質的な手元資金に対して企業価値が割安であると見なされやすい。現在の流通株式時価総額に対して、キャッシュリッチな企業を順番に並べた形となる。

 ランキング上位の企業は、株主還元への余力が相対的にあるといえる。つまり、プライム逆転合格を目指すために行動を起こし、株価上昇期待が望める銘柄だ――。