SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」は、2015年9月に国連サミットで採択された、国連加盟193カ国が達成を目指す2016年から2030年までの国際目標である。

 2021年、日本におけるSDGsという言葉の認知度は50%を超えており、身近な問題として認識している人々が増えている。同時に、ビジネスとSDGsを両立させる企業の取り組みが注目されている。

 そこでブランド総合研究所は2021年7月、各社の活動が一般消費者にどのくらい認知・理解され、評価されているのかを数値化する『企業版SDGs調査2021』を実施した。調査対象で210社で、業界別に売り上げ規模の大きな企業と、SDGsやESG(環境・社会・企業統治)に積極的に取り組んでいる企業を中心に、同研究所が独自に選出した。

 今回は、その『企業版SDGs調査2021』から、「SDGsの取り組みの評価が高い企業ランキング」(※1)として紹介する。

※1 調査を行ったのはブランド総合研究所(調査概要 https://news.tiiki.jp/articles/4685)。アンケートは全国の調査モニターより、年代(20代、30代、40代、50代、60代以上)と性別で均等に回収。2021年7月25日〜31日にかけてインターネットで調査を実施した。各企業の回答数をそれぞれ1,000人ずつ回収し、不完全回答および信頼性の乏しい回答を除く計18,403人の有効回答を得た。なお、選出した210社は、原則として消費者が評価しやすいブランド名を優先している。
「あなたは各社がSDGs(持続的な開発目標)への取り組みをしていると思いますか」との設問に対し5段階で回答してもらった結果をもとに点数を算出した。

事業活動が評価された
トヨタ自動車が2年連続1位

 SDGsの取り組みが最も評価されている企業は、2年連続でトヨタ自動車が1位(26.3点)を獲得した。同社はSDGsに「本格的に取り組んでいる」が17.3点と多く、2以下より5ポイント以上の差をつけている。

 自動車関連企業では6位に日産自動車(19.0点)がランクインした。前年の113位から急上昇していることは注目すべきであろう。

 2位はユニクロ(21.3点)で、前年の9位から急上昇。「取り組んでいる」の回答はトヨタ自動車を上回る20.5点だった。3位はサントリー(20.0点)で、「本格的に取り組んでいる」の回答率は2位のユニクロを上回っている。

日清食品が4位、イオンが5位
小売・流通業と食品業の関連企業が上位に

 小売・流通関連企業ではイオンが5位(19.4点)、セブン-イレブンが14位(17.8点)、無印良品が17位(17.6点)、ローソンが20位(16.9点)と上位にランクインしている。また、食品業界では4位(19.8点)に日清食品、9位(18.8点)にハウス食品、11位(18.8点)に日本コカ・コーラ、13位(18.1点)に味の素、15位(17.7点)にカゴメが、上位に入っている(※2)。

※2 表記上の点数が同点でも、小数点2位以下の点数が異なる場合は順位が異なる。

 SDGsでは17の目標が設定されている。このことを踏まえ調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、今回の総合ランキングについて以下のように話す。

「17ものゴールが設定されていると、どのテーマに注目するかによってランキングは変動する。企業のSDGsに対する取り組みについて、より詳細を知ることができれば、その企業のことが少しずつイメージできるだろう」

 企業によって17ゴールのうち特定分野に強いところもあれば、業界全体がSDGへの意識が高い場合もある。具体的な取り組みはおぼつかないが、とりあえず社員が17色のドーナツ形をしたSDGsバッジを付けるところから始めているような企業など、いろいろなパターンが見られる。

「SDGsの評価は、企業自体のイメージにもなる。今回上位にランクインした企業はどれも、身近な存在という印象が強い。そして、SDGsの取り組みの内容も大事だが、それをどう伝えるのかも重要になってくる。活動内容が消費者に認知されない限り、今回の調査の結果には表れてこない」と田中社長。

 調査では、各社のSDGsに関する情報を主にどこで入手したかについても尋ねているが、全業種を通じて最も多いのが「テレビコマーシャル」。次いで「テレビ番組やニュース」だった(※3)。情報発信による認知度の向上は各社共通の課題だ。

※3 「各社のSDGsに関する情報は主にどこで入手しましたか」の設問に対し、「テレビ番組やニュース」など12の媒体(入手経路)の中から選んでもらった(複数回答可)。本記事の表には記していない。

SDGsの認知が高い人ほど
好感度・就職意欲・投資意欲が高い

 また、調査ではSDGsについての理解が高い人ほど、調査対象となった企業への評価が高いことも分かった。SDGsに関して「詳細な内容を知っている」人では、対象の210社について「とても好感が持てる」と回答したのが29.2%(210社平均)だったのに対し、「ある程度の内容を知っている」人は10.3%(同)にすぎない。一方でSDGsについて「知らない」と回答した人で企業に対して好感を持てると回答したのは6.4%(同)だった。つまり、SDGに関する認知度の高い人の方が企業に好感を持ちやすいことになる。

 これについて田中社長は、「この傾向は就職意欲についてはさらに極端で、『詳細な内容を知っている』人は210社平均で21.6%が『ぜひ働きたい』と回答したのに対し、『ある程度の内容は知っている』では5.3%だった。投資意欲においても同様の結果で、SDGsについて認知の高い人ほど、投資に積極的だということがわかった」と説明する。

 いまや、SDGsは、企業評価の尺度のひとつとして完全に浸透してきているのである。 

(フリーライター 西嶋治美)