先日、日本高血圧学会から「高血圧治療ガイドライン2019」が公表された。

 世界の高血圧治療は一時の「緩やかな降圧」から一転、「厳格に管理」の流れにある。一昨年25年ぶりに改訂された米国のガイドライン(GL)では、高血圧の基準値を従来の140/90mmHgから、130/80mmHgへ変更。同じ値を採用してきた日本の動向が注目されていた。

 最終的に改訂GLでは、高血圧の基準値こそ従来の140/90mmHgに据え置かれたが、成人の降圧目標値を10mmHg引き下げ、75歳未満の成人は130/80mmHg未満に、75歳以上は140/90mmHg未満としている。

 いたずらに「高血圧人口」を増やすことを避けた一方、降圧目標値を厳しくすることで「早め、早め」の対策を推奨したのだろう。

 ちなみに、降圧目標値の根拠となった複数の調査研究では「高血圧とはいえないが、高めの要注意血圧(正常高値血圧)」とされた120〜139/80〜89mmHgに相当する人は、いずれは高血圧になる確率が高く、120/80mmHg未満と比較して脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高いという結果が示されている。

 従ってこの春の健診で「正常血圧」とされた人も、念のため数値を確かめてみよう。もし正常高値血圧だった場合は、食事を見直すことから始めてみるといい。

 その第一歩は減塩だ。現在、改訂作業中の「日本人の食事摂取基準」では、1日当たりの食塩摂取目標量が現在より0.5グラム厳しくなる見込み。18歳以上の男性なら1日7.5グラム未満、同女性は6.5グラム未満である。

「厳しいなあ」と思うかもしれないが、日本高血圧学会が推奨する1日当たりの食塩摂取量は男女とも6グラム未満、世界保健機関に至っては5グラム未満だ。「減塩・降圧」の流れは止まらないだろう。

 減塩食を美味しく食べるコツは酸味(酢やレモン)、辛味(唐辛子など)、香味スパイスや昆布のうま味で物足りなさを補うこと。ただし、これからの梅雨〜夏季は脱水症リスクが高まるので「ほどほど減塩」から慣らしていこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)