この4月から75歳以上の後期高齢者を対象に、いわゆる「フレイル健診」が始まる。

 フレイルとは筋力や身体の機能全般が低下し、生活に支障がでる直前の段階を指す。健診では「1日3食きちんと食べていますか」「以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか」など、リスクをあぶり出す質問が並ぶ。

 ただ、つい前年の74歳まで「メタボ健診(特定健診)」で食べ過ぎや腹部肥満ばかりを気にしていたのに、いきなり「食べましょう」「筋トレしましょう」と言われてもなあという気がする。できれば50代の後半から身体機能や筋力を意識していた方がいい。

 まして糖尿病や肝機能障害がある人はすでにフレイル予備群でもある。BMI(体格指数)が標準〜小太り(22〜25)くらいなら、極端な食事制限よりも、運動療法へ徐々にシフトしていこう。

 フレイルの一因に「サルコペニア」がある。ギリシャ語で筋肉を表す「サルコ」と喪失を表す「ペニア」を組み合わせた言葉で、筋肉量と筋力が減少し、身体活動能力が衰えた状態を指す。

 日本サルコペニア・フレイル学会の診断基準によると、まず、筋肉が細くなっているかどうか「ふくらはぎ周囲径」をチェック。男性34cm未満、女性33cm未満がリスクだ。両手の親指と人さし指で輪を作り、ふくらはぎを囲む。周囲を測るのが面倒な場合は、(1)指先がつかない、(2)きっちり囲める、(3)隙間があるで、(1)をリスクなしとすると、(2)は2.4倍、(3)は6.6倍にもなる。

 次に見るのは「握力」で、男性28kg未満、女性18kg未満だと黄色信号が点灯する。握力が測れない場合は、椅子を使って12秒以内で5回連続して立ち座りができるか確認するといい。このほか、スマートフォンで普段の歩行速度を計算してみよう。1秒間に1m未満なら要注意である。

 確定診断には専門的な検査を受ける必要がある。まずはセルフチェックで状態を把握しておこう。

 中高年期の運動経験は、引退後の生活と心身を守る大切な要素だ。今年こそ、適度な運動と筋トレを生活習慣に定着させたい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)