喫煙が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクなのは常識だが喫煙量との関係は曖昧だった。

 米オハイオ州に本拠を置くクリーブランドクリニックの研究グループは、第1波の2020年3月8日からCOVID-19の検査を受けた患者を全例登録。このうち8月25日までに登録された成人患者のうち、喫煙情報の記録がある対象者の喫煙量と重症化・死亡リスクの関係を解析した。

 喫煙量は20本/日×喫煙年数=パック年(以下、パ年)で分類し、喫煙歴なし群と0〜10パ年、10〜30パ年、30パ年以上で比較した。重症化の目安は入院、集中治療室への入室とし、年齢と性別、人種の影響を調整している。

 登録された患者7102人のうち6020人(84.8%)が非喫煙者で、172人(2.4%)が現役の喫煙者、そして910人(12.8%)が元喫煙者だった。

 パ年でわけると0〜10パ年が341人(年齢中央値56.5歳、女性56%)、10〜30パ年が400人(同65.2歳、同53%)、30以上パ年が341人(同71歳、同42.5%)だった。

 単純な喫煙歴と入院リスクとの関係は、喫煙歴なしを1として、0〜10パ年は1.41倍、10〜30パ年で2.48倍、30パ年以上は4.65倍に跳ね上がった。COVID-19と診断された後の死亡リスクは、それぞれ2.38倍、3.40倍、6.11倍へ変動した。

 他因子の影響を調整した場合、喫煙歴なしと0〜10パ年の入院リスクはほぼ同じだが、10〜30パ年で1.41倍、30パ年以上は2.25倍と、喫煙量の影響が大きいことがわかった。死亡リスクは30パ年以上の群で1.89倍高かった。

 同クリニックに健康情報の記録がある患者は裕福な世帯の一員で、低所得世帯より健康的な生活を送っている可能性が高い。そのメリットも長年のたばこの煙と共に消えてしまったのだ。

 研究者は「たばこの累積ダメージがCOVID-19入院、死亡の独立したリスクであることは明らか」とし、喫煙の“既往”を侮らず、元喫煙者を見逃さないよう呼びかけている。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)