米国立衛生研究所(NIH)は、今後4年間で政府から11億5000万ドル(およそ1200億円)の支援を受け、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症に関する調査研究を行うことを発表している。

 これまでに報告されたCOVID-19の後遺症――「ロングCOVID」は、全身の疲労感、息切れ、「Brain Fog(頭のもやもや)」と呼ばれる認知機能障害、睡眠障害、抑うつなどの精神症状、胃腸症状、そして嗅覚・味覚障害など。

 一連の症状は、回復した直後から数カ月持続する、何事もなく過ごした後に突然、症状が出る、時間の経過に従って進行するケースなど、症状や経過が多様で一律に予防管理するには情報が乏しい。

 特に疲労感は難病の一つである「慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎」に似た症状を呈し、洗面や着替えといった動作で疲労困憊して寝込んでしまうこともあるようだ。家事や仕事に支障がでるため、生活に影響する可能性がある。

 また、後遺症と聞くと入院した重症患者のみに生じると思いがちだが、COVID-19の場合は、PCR検査陽性で無症状というケースでも油断はできない。

 ワシントン大学で無症状〜軽症の外来患者(対象者の9割)と入院患者を9カ月間追跡調査した結果では(平均年齢48歳、女性57%)、外来患者の3人に1人が9カ月後も何らかの後遺症を抱えていることが判明している。最も多かったのは疲労感で、次いで味覚・嗅覚の消失だった。

 少々怖いのは、無症状〜軽症でも食事や入浴、洗面といった日常の生活動作に支障が生じるケースが報告されている点だ。

 元々、慢性疲労症候群は急性感染症をきっかけに生じ、無理を重ねて悪化するケースが知られている。COVID-19も同じリスクがあるので回復後も数カ月〜半年は無理をしないよう心がけよう。家族や周囲も「もう治ったはず」と追い詰めないようにしたい。

 いずれにしても「感染しない」が一番の予防策であることには変わりはない。マスクとワクチン接種で未来の健康と生活を守ろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)