この1、2年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する偽情報が大量にばらまかれた。

 特に、SNSの影響は侮れず、誤った情報をうのみにして感染予防行動を軽視した人は、自ら健康リスクを背負い込むばかりか、公衆衛生上の障害になってしまった。

 米心理学会は、この事態への対処のため、誤った医療情報に影響されるタイプを分析している。

 調査では、SNS(FacebookとTwitter)から(1)脂質異常症治療薬のスタチン、(2)がんの代替療法、(3)ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの3テーマに関する実際の投稿を抽出。専門医が投稿内容の真偽を判定した後、それぞれの投稿本数、印象や文字数などを揃えたうえで、一般の試験参加者に投稿を公開した。

 偽情報には、「マリフアナやタンポポの根っこ、ショウガはがんを治す」など判断がしやすい内容もあれば、「紅麹米はスタチンと同じようにコレステロールを下げる」――正しくは「コレステロールを下げるが、心筋梗塞や死亡を防ぐ効果はスタチンに劣る」など、真偽が判定しにくい投稿もあった。

 参加者(40〜80歳、SNSの利用時間は週5日以上、1日30〜60分)は投稿内容を「完全に偽」「ほぼ偽」「ほぼ真」「完全に真」の4段階で評価した。

 参加者のプロフィールと評価の関係を解析した結果、教育レベルと健康リテラシーが低い参加者は、偽情報を信じる傾向が強いことが明らかになった。また、教育レベルにかかわらず、医療システムへの不信が強く、ハーブ療法や鍼灸などの補完代替療法を高く評価する人も偽情報に影響されやすい。

 このほか、一つのテーマで偽情報を信じた人は、他の二つでも同じ行動をとる確率が2倍以上になるなど、SNSの偽情報サイクルにハマると、なかなか抜け出せない状況が明らかになっている。

 今、偽情報による公衆衛生上のリスクといえば間違いなく「ワクチン接種」についてだろう。個々の信念はさておき、COVID-19のワクチンに関する情報は個人のSNSではなく、厚生労働省のHPを参照してほしい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)