運動不足の解消にはウオーキングが手っ取り早い。

 最近は歩数でポイントをためる「ポイ活」連動アプリや、歩きながらミッションをクリアするゲーム系のアプリが選び放題で、モチベーションを保ちやすくなった。

 東京大学健康教育・社会学分野の研究グループは、プロ野球パシフィック・リーグ(パ・リーグ)6球団の合弁会社と共同で、スマートフォン対応のウオーキングアプリ「パ・リーグウォーク」を2016年に公開している。

 ゲーム要素を取り入れた設計で、ファン球団を登録すると、試合日の歩数「STEP」を応援ポイントとして投入したり、ファン同士の合計STEPで、試合中に競い合うことができる。

 試合がない移動日やシーズンオフは、1日1万歩以上で手に入る選手の画像で「選手図鑑」の完成を楽しめるのだが、空欄をなかなか埋められないのがもどかしく、ついつい歩いてしまう。

 今年1月にスポーツ医学専門誌に掲載された報告によると、16年3月から21年末までの合計ダウンロード数は6万件を超えた。

 利用者は、女性がおよそ4割、体格指数の平均は23で、25以上の「過体重」は3割超だった。また、運動不足になりがちな30〜50代が8割を占めている。

 効果を検証するため、18歳以上のアプリ利用者274人と非利用者613人の歩数を比較した結果、アプリ利用者はダウンロード後の3カ月間で、1日の歩数が506歩〜574歩増加した。歩く時間に換算すると5分ほどだが、1日の平均歩数は7290歩〜7384歩を維持していた。

 また16年のシーズンオフに導入した「選手図鑑」の効果で、1日1万歩達成者の割合が24.4%から27.5%へ増加している。

 アプリの利用者の4人に1人は事前に「運動を始めるつもりはない」と回答していたこともあり、研究者は、ファン心理へのアプローチが奏功したとしている。

 実際、健康行動は強制された途端にやる気がうせるが、推し選手やひいきチームを応援できるなら「よし、今日は1駅くらい歩くかな」という気持ちになりそうだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)