全国的に梅雨が明け、いよいよ海水浴シーズンが到来した。

 そこでダイヤモンド編集部は、環境省が集計した水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD、mg/l、複数回測定の平均値)を基に、全国819ヵ所の海水浴場をCODが少ない(=きれいな)順にランキングした。

 数ある海水浴場の中から選ぶ上で、水質の良しあしは最も大切なポイントになるからだ。

 環境省による水質の格付けで、最高位の「AA」を得た586ヵ所を対象にしている。ランキングの中には一部、湖沼や河川といった水浴場も含まれている。長野県や奈良県といった海のない自治体に住む方もぜひチェックしてみてほしい。

上位に多数入ったのは沖縄や小笠原の離島勢

 CODが0.5mg/l未満となり、全国で最も水質がきれいな海水浴場は5ヵ所あった。

 このうち、沖縄県の離島が3ヵ所入った。宮古島(宮古島市)の前浜ビーチは全長7kmに及ぶ白い砂浜と澄み渡る海が高く評価され、東洋でも一、二を争う美しさと称される。このほか、石垣島(石垣市)の真栄里ビーチとクラブメッドカビラビーチも、この水準をクリアした。

 静岡県沼津市の井田と平沢(らららサンビーチ)も0.5mg/l未満だった。井田は、砂浜がなくゴロゴロした石とコンクリートの斜面のエリアで泳ぐようになっている。

 平沢は人工の海浜施設で、伊豆半島の西海岸では数少ない白い砂のビーチが売り。干潮時には潮だまりができるように設計されており、磯浜に取り残されたカニや小魚などの海洋生物を観察できる。

 CODが0.5mg/lで6位となったのは、東京都小笠原村の大村海岸と沼津市の大瀬の2ヵ所。

 大村海岸は東京都に属しているが、東京から約1000km離れた父島に位置し、竹芝桟橋(東京都港区)から船で24時間かかる。

 父島の東部は希少な生物が多く、小笠原諸島の一部として2011年に世界自然遺産に登録された。当時東京都知事だった石原慎太郎氏は、父島で開かれた記念式典で「小笠原を世界の宝物として守っていく」と宣言している。

離島の海水浴場に交じって静岡県沼津市が大健闘

 沼津市の大瀬は、ダイビングスポットで有名だ。波が穏やかで水が澄み、約700種類の海中生物が生息する。近くには国の天然記念物であるビャクシン樹林もある。

 CODが0.6mg/lで8位となった海水浴場は10ヵ所あった。ここでも東京都八丈町の底土や東京都三宅村の大久保浜、宮古島市のパイナガマビーチといった離島のランクインが目立った。その中で、またも沼津市の御浜が入っているのが目に付く。

 ここまでの17ヵ所のうち、市町村別で最も多くランクインしたのが4ヵ所の沼津市だった。宮古島市と石垣市がそれぞれ2ヵ所ずつでこれに続いている。上位に多数、離島勢が並ぶ中で沼津市は大健闘しているというほかない。

 沼津市は、離島に比べて東京都や神奈川県といった首都圏からアクセスしやすく、日帰りも可能だ。気軽に全国トップレベルの水質が楽しめる穴場だといえる。

水質にこだわるなら水が入れ替わりやすい海水浴場へ

 海水浴場の水質に詳しい専門家によると、「海の汚れは基本的に陸上から流れてくる」(国立研究機関の研究官)。人が住んでいる限り、ある程度の生活排水や工場排水などが発生する。離島にきれいな水質の海水浴場が多いのは、海流で水が入れ替わることが大きいという。

 それでは、離島ではない沼津市の海水浴場が、きれいな水質ランキングで上位に多数入ったのはなぜか。

 この専門家は「駿河湾の水深が影響した」と考えている。駿河湾の最深部は2500mで日本一深い。この深さで水の汚れが薄まりやすく、地形的に有利になっているというのだ。

 また、別の専門家は、沼津市に流れ込む富士山由来の河川の水質がきれいなことや、駿河湾は湾ではあるが外洋に対して開放的で水がよどまない、などといったことが背景にあると推測する。

 沼津市産業振興部の観光戦略課の担当者は「環境省の調査で何年もトップレベルの水質を維持しており、市としても積極的にアピールしている」と強調する。ただ、沖縄の離島に比肩する水質の良さは、全国的にはそれほど認知されているとは思えない。

「沼津市で上位にランクインした海水浴場は、砂浜の色が黒くて美しくない」(静岡県の観光関係者)といった指摘もある。「インスタ映え」しないのがネックというわけだ。ただ、それを差し引いても、沼津市の水質の良さは、もっと知られてもよいだろう。

「AA」は四つの基準全てをクリアしたきれいな海

 環境省は、全国の自治体に呼び掛けて、海水浴場の水質調査を毎年取りまとめている。水質は、以下四つの基準で判定される。(1)COD、(2)ふん便性大腸菌群数(個/100ml)、(3)透明度(m)、(4)油膜の有無。

 今回ランキングの対象にした「AA」は、CODが2mg/l以下(湖沼は3mg/l以下)、大腸菌群数は2個/100ml未満、透明度は1m以上、油膜は認められない、という4つの基準を全てクリアしている。

 ランキング上位の海水浴場は、水質の良さではエリート中のエリートだと考えていいだろう。

 なお、次回8月5日公開予定の記事では、水質が「A」「B」の海水浴場233ヵ所を対象に、「汚い水質ランキング」を取り上げる予定だ。この夏、家族や友達と海に出掛ける際には、今回の記事と併せて参考にしてほしい。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)