SDGsの認知度は
ここ2年で急速に向上

 最近、何かと耳にするようになったSDGs。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されている。

 現在では、日本でも企業や学校など全国の各自治体が取り組んでおり、SDGsの認知度はこの2年間で急速に向上している。

 ブランド総合研究所の『第3回地域版SDGs調査2021』によると、「あなたはSDGs(持続可能な開発目標)をご存知ですか」との問いに、2019年は70.7%が「知らない」と答えたが、21年調査では「知らない」は33.1%にまで減っている。

 田中章雄・ブランド総合研究所社長は、「各自治体のSDGsにおける発信力の向上、つまり、取り組みを分かりやすく伝えることで、ようやく認知度が浸透していったのではないだろうか」と指摘する。

 そこで今回は、各都道府県民が自分の都道府県のSDGsへの取り組みについてどう評価しているかの調査結果を、「SDGsへの取り組みの評価が高い都道府県ランキング」として紹介する。

※調査を行ったのはブランド総合研究所。アンケートは全国の男女約450万人の調査モニターの中から15歳以上を対象に、2021年5月1日〜5日にかけてインターネットで調査を実施した。各都道府県の住民それぞれ350人ずつ回収し、調査時点で移転などの理由によりその地域に居住していない人を除く計1万6300人の有効回答を得た(回答時点で各都道府県に居住していない人は「無効回答」とし、集計から除いた)。
「(あなたの居住する)都道府県はSDGs達成のために積極的に取り組んでいると思いますか」という設問に対し、5段階で回答してもらった結果をもとに点数を算出した。47都道府県平均は45.0点。

SDGsへの積極的な取り組みが
県民に評価されている鳥取県が1位

 ランキング1位の鳥取県(51.9点)、2位石川県(50.5)の2県が50点を超えている。以下、千葉県(48.1点)、広島県(47.9点)と続く。

「鳥取県では、平井伸治知事が先頭に立ち、SDGsの普及啓発と実践を積極的に推進している。学生に対してSDGsのミーティングを実施し、SDGsの効果検証を全国でも早めに行うなど、その取り組みは高く評価されている」と田中社長。

 また石川県では、金沢市が2020年9月に「金沢市SDGs未来都市計画」を策定。独自の目標を掲げ、さまざまな事業を実施しているという背景がある。

 また、4位にランクインした広島県(47.9点)は、言わずと知れた“平和都市”である。太平洋戦争で甚大な被害を受け、世界平和に関して絶えず情報発信を続ける県だ。

 今回は詳しく紹介していないが、同時期に調査したSDGsの目標項目ごとの評価として「SDGsゴール別ランキング」の結果がある。その中で「ゴール16:平和と公平をすべての人に」を選んだ人が最も多かったのは広島県で28.8%、次いで長崎県が22.7%だった。これら2県が20%を超え、3位は沖縄県で14.9%であった。

 広島県と長崎県はともに原爆により市民に多数の死者を出し、沖縄県は唯一地上戦が行われ、20万人を超す犠牲者が出た。こうしたことから、特に平和に対する意識が高いと見られる。

地域のSDGsの取り組みが
住民の幸せを高める!

 同調査では、環境や社会の持続につながる行動について「あなたが普段の生活の中で、意識して取り組んでいるもの」も聞いている。「地産地消」「節電・省エネ」「寄付・募金」など、消費、環境、社会のそれぞれの分野における行動(計20項目)の中から、実際に行動しているものを選んでもらった(複数回答)。

 すると、社会や環境などの持続につながる行動をとる人が最も多いのは鳥取県となった。同県は、前出のSDGs評価と合わせて2冠を獲得したことになる。

 ただし、田中社長は「実際には、都道府県の取り組みにそれほどの差があるとは思えない。特に教育に関しては、どの自治体も熱心に取り組んでいる」とも指摘する。

「SDGsについてのパンフレットを作成するなど、どの自治体はきちんと動いているが、各自治体の広報が住民に対してどこまで届き、どこまでSDGsの理解を求めることができているのか、その差が今回のランキングに表れている」

 今回のランキングは、あくまで自分が住む都道府県のSDGsへの取り組みについての評価である。つまり、見方を換えれば、自治体による「広報活動」がうまくいっている都道府県ランキングと解釈してもよいかもしれない。

 また、同社の調査では、興味深いことに、居住している都道府県のSDGsへの取り組みを評価している人ほど「幸せ」を感じる割合が高いことがわかっている。また、これらの人たちは定住意欲度が高いことも判明した。つまり、自治体のSDGsの取り組みが住民に理解され、評価されることは住民の「幸福度」につながり、結果的に地域の持続性を高めることに貢献しているというわけだ。

「地域のSDGs取り組みが、住民の幸せを高めることが数字的に説明できたことで、各地のSDGs担当者の取り組みの目標ができたのではないか」と田中社長は結論づけた。

(ライター 西嶋治美)