Uber Eats Japan合同会社(東京都/武藤友木子代表)と楽天グループ(東京都/三木谷浩史社長)は、4月18日、「Uber Eats」と「楽天ペイ」のサービス連携を開始すると発表した。「Uber Eats」のすべての利用者は、4月下旬までに「楽天ペイ(オンライン決済)」を利用できるようになる。

ウーバーイーツ、楽天
(左から)Uber Eats Japan合同会社の武藤友木子代表、楽天グループコマースカンパニー上席執行役員の松村亮氏

日本人は「ポイント」が好き? 両社のねらい

今回の連携により、実装される機能は大きく2つある。1つ目は、「Uber Eats」ログイン時に、楽天IDを利用できるようになり、シームレスなログインが可能になった点。また、「Uber Eats」に登録していないユーザーも、楽天IDを持っていれば簡単に登録することができるようになる。ログイン画面2つ目は、「Uber Eats」で商品を注文する際に、「楽天ペイ」を選択し、楽天IDに登録しているクレジットカードから支払いができるというもの。商品代金や配送料の決済時には「楽天ポイント」を支払いに使い、ポイントを貯めることも可能だ。決済機能は4月17日から一部ユーザーを対象に試験運用を開始しており、4月下旬までに全ユーザーに拡大する。

今回の両社の提携は、日本で1億人以上の会員数を誇る楽天の“デジタルエコシステム”を取り入れ、登録店舗数、月間アクティブユーザー数ともに日本一位である「Uber Eats」をフードデリバリー市場において不動の座のものにしようとするUber Eats Japanと、国内EC流通総額※10兆円(2021年実績5兆円)を目指し、外部サービスとの提携を進めたい楽天双方の思惑が重なったことで実現した。

※楽天市場、楽天トラベル、楽天ファッション、楽天西友ネットスーパー、楽天ペイなどを含む流通額

Uber Eats Japan合同会社の武藤友木子代表は「今回の提携は親会社であるUber Technologiesダラ・コスロシャヒCEOと、楽天の三木谷社長が長年議論してきたこと。ダラも『日本人は楽天ポイントが好きだよね』と話していた。日本でもっとも強力なデジタルエコシステムである『楽天経済圏』をもつ楽天との提携で、Uber Eatsのさらなる成長につなげていきたい」と話した。

また、武藤代表は楽天との提携を今後さらに深めることも考えていると言及した。現時点で詳細を明かせるサービスはないとしたものの、ECサイト「楽天市場」の「スーパーSALE」との連携企画や、配車サービス「Uber」における楽天IDと決済の連携、Uber Eatsのサブスクリプションサービスの「Eatsパス」での連携などを考えていると明かした。

楽天グループコマースカンパニー上席執行役員の松村亮氏も「楽天が手掛ける70以上のサービス以外にも、外部サービスで『楽天ペイ』を展開することは『国内EC流通総額10兆円』という目標を達成する上で重要だった」と提携の位置づけを説明する。同社はECサイト「楽天市場」や「楽天トラベル」といった自社のサービス以外にも、リアル店舗でも使える決済手段である「楽天ペイ」や、サイトを経由することで「GAP」や「Joshin」などの他社のショッピングサイトで買物をしても楽天ポイントが貯まる「Rebates(リーベイツ)」など、外部サービスとの連携を深めようとしている。

その際、カギとなるのが買物するたびに貯まる、年間ポイント発行数約5300億円(21年実績)の「楽天ポイント」だ。Uber Eatsを利用する際は、「楽天ペイ」で料金を支払うと「楽天ポイント」が100円につき1ポイント付与される。

つまり、楽天にとって、日本市場最大手であるUber Eatsとの提携は、「楽天経済圏」を拡大するための重要な取り組みなのだ。

楽天とUber Eats、資本提携の可能性は?

コロナ禍でフードデリバリーの利用数は増加しており、日本においても次々と事業者が参入している。楽天も、ぐるなびと提携するデリバリー事業を行っており、21年7月には「楽天ぐるなびデリバリー」を開始。21年3月時点で利用可能店舗数約5万5763店舗、ユーザー数455万人を超えるサービスとなっている。

会見では「『楽天ぐるなびデリバリー』でもデリバリー事業を行っているが、Uber Eatsとの提携を決めた理由は」という質問も飛び出した。松村氏はこれに対し「今はユーザーのみなさまにフードデリバリーというサービスを体験してもらうフェーズにあると考えている。(今回の提携により)市場がより拡大すれば、我々がかかわるサービスが利用される機会も増えるという判断」と説明した。

フードデリバリー市場全体を見渡すと、ソフトバンクグループの影響力が非常に強いことが分かる。同社はアメリカのUber Technologiesに出資しているほか、アメリカ最大手のDoorDash、日本でも大きなプレゼンスを誇る出前館は傘下のLINEが資本関係にある。

武藤氏に対して、「楽天との提携で、(株主である)ソフトバンクとのコンフリクト(衝突)はないのか、また楽天との資本提携に発展することはないのか」という質問があったが、「今回の楽天との提携は、双方にとってメリットがあるもの。株主にとってもメリットがあると思っている。資本提携については、現時点ではその可能性はない」と話した。

日本能率協会総合研究所によると、2022年度のフードデリバリー市場は約3300億円となる見込みで、2025年度には4100億円まで拡大するという。日本でも多くの企業が参入し熾烈な争いを見せるが、フードパンダ(Food Panda)を運営していたデリバリーヒーロー・ジャパンは、22年1月にサービスを終了するなど、撤退するプレイヤーも出てきた。

Uber Eats Japanと楽天の今回の提携により、両社にどのようなシナジーが発揮されるのか、注目である。

著者:湯浅 大輝