上新電機(大阪府/金谷隆平社長)が5月6日に発表した2022年3月期連結決算は、売上高が4095億円(対前期比8.8%減/前期から396億円減)、営業利益が88億円(同46.3%減/同76億円減)、当期純利益が63億円(同28.0%減/同24億円減)の減収減益だった。
なお、当期からの会計基準変更(収益認識に関する会計基準)に伴い、売上高が63億円ダウンしているが、変更影響を除いた実質的な売上高で比較しても、減収基調であることは変わらない。

上新電機
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反動減、天候不順の影響で減収減益着地

 上新電機の2022年3月期は、1人当たり10万円が支給された特別定額給付金や巣ごもり・リモートワークに伴う買い替え需要が追い風となった前年度の反動減に見舞われた。加えて、天候不順によるエアコンの需要減が追い打ちをかけ、売上高は前期実績を下回った。

 ただし、一過性要因を除けば需要は底堅い。一過性要因のない前々期と比較すると、22年3月期の実質売上高は同0.5%増とほぼ横ばいとなっている。

 チャネル別にみると、店頭売り上げが実質で前期の92.3%に落ち込む一方で、インターネット販売(EC)は105.8%と伸びている。ECは年々伸びており、全体に占める構成比も2年前の13.8%から18.5%にまで高まった。

 出店もスクラップビルドを進め、全国に15店を新規オープンすると同時に5店を閉鎖、期末の店舗数は218店舗となった。

 営業利益については、デジタル販促のウエート増による販売管理費の抑制はあるものの、減収影響に加えてプロダクトミックス(利益率の高いエアコンの販売減)による粗利益率悪化も加わり、営業利益は前年度から半減した。

中期経営計画 ≪JT-2023 経営計画≫の進捗状況は

 上新電機は2年前の20年8月7日に中期経営計画(2021年3月期〜2023年3月期)を公表した。22年2月期は、その2年目にあたる。

 中計の進捗は、芳しいとは言えない。およそ1年前の決算発表時(5月7日)には中計の当初目標を下方修正したが、実績はその修正目標をも下回った。業績的には苦しい状況だが、中計で掲げた施策は着実に推進し、将来への布石を打っている。

 三井倉庫ロジスティクスとの共同で推進してきた新物流拠点「関西茨木物流センター」は、2月に旧倉庫からのリアル店舗向け在庫・機能(入出庫・保管・受発注管理・ピッキングなど)の移管が完了、5月からの本稼働を目指す。EC関連の物流機能も、移管が予定されている。

 センター稼働により、物流業務の効率化に加えて、供給能力・レスポンスの拡大が期待できる。とくにECの供給能力は、従来の倍に増える。

 販促活動に関しては、チラシDMなどの紙媒体を縮小し、WEBアプリ活用による効率化と顧客利便性向上に取り組みすでに成果が表れている。デジタル効率化で抑えられたコストは、マーケティングオートメーションなどへの積極的投資に振り向けた。

 さて中期経営計画の最終年度である同社の2023年3月期の業績予想では、売上高が同2.6%増/同80億円増の4200億円、営業利益が同12.6%増/同11億円増の100億円、当期純利益が同9.5%増/同7億円の70億円と増収増益をめざす。

 前期は季節要因に振り回されたが、今期は生活必需品であるエアコンなどの買い替え需要が順調に期待できそうで、原材料の上昇リスクや上海ロックダウンの影響をコンサバティブに織り込んでも、全店売上および既存店売上のいずれもプラスが見込めるようだ。

 ただし数値目標は、22年3月期までの進捗状況を踏まえ、中計の当初計画より引き下げている。

中堅以下のプレーヤーはどう生き残る?

 家電需要は、当面6兆円前後で推移すると見込まれている。中長期的には人口および世帯数の縮小に伴い減少トレンドが懸念される一方で、生活家電の高付加価値化や一定の買い替えにした下支えされ、一定の底堅さが期待できる。

 一方の競合環境は、ここ数年ずっと続いてきた大手量販店同士の熾烈な戦いも沈静化に向かいつつある。価格競争に関しても、政府通達(2015年3月)の流通ガイドライン改正に伴い、メーカーの流通業者に対する一定の関与(小売価格の流通調査・流通業者の選別・販売エリアや価格の制限)が可能になったこともあり、一時よりはひどくなくなった。

 業界再編と寡占化が進んだことでプレーヤーが減り、業界下位の上新電機にとってもビジネスを続けやすい環境が整ってきた。全体的に新規出店が減ってきたのも有利に働く。

 とはいえ、体力面で劣る中堅プレーヤーに気を抜く余裕はない。まずエリア面では、もともと強い関西エリアを中心に店舗展開していくことになるだろう。フォーマットに関しても、一棟型ではなく、モールなどのテナントに入った方が集客面で負担が少ない。

 早くから手掛けてきたECも、引き続いて注力していくことが望まれる。打ち手さえ間違えなければ、家電量販店の競争を勝ち残ることは十分に可能であるはずだ。

著者:棚橋 慶次