コロナ禍以降内食需要が高まるなか、簡便性の高さや保存のしやすさから伸長している冷凍食品のマーケット。新商品も続々登場し、冷凍弁当や冷凍中華麺、冷凍和洋菓子など新たなジャンルの商品も好調に推移している。

需要拡大に伴い、売場を拡張する店舗も増加

 KSP-POSデータによると、2022年3月から23年2月の冷凍食品カテゴリーの期間通算金額PIは対前年同期比3.1%増の4万7278円、数量PIは同2.5%減の196.3となった。

 月別の金額PIの傾向を見ると、22年7月と23年2月以外は微増で推移しており、安定した売上を確保していることがわかる。

 冷凍食品はピザやグラタンといった定番メニューをはじめ、チャーハンやピラフなどの米飯系、餃子やシューマイなどのおかず系、冷凍野菜などの素材系にいたるまで、商品バリエーションの豊富さが魅力だ。

消費者にとって利便性の高い場所に冷凍食品を配置することが重要だ(JGalione/istock)
コロナ禍以降内食需要が高まるなか、簡便性の高さや保存のしやすさから伸長している冷凍食品のマーケット(JGalione/istock)

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、外出自粛やテレワークの推進などもあり家で過ごす時間が増えたことから、日持ちがして簡便性の高い冷凍食品の需要が一気に拡大。コロナ流行から3年以上が経過し、以前のようなまとめ買い傾向は緩やかになったものの、価格改定などの影響で他カテゴリーが苦戦するなか、現在も拡大を続けている。

 この消費動向を受けて新店や改装のレイアウトで冷凍食品コーナーを拡大する店舗が増加。近年は省エネ設計かつ視認性の高いリーチインケースが開発されており、オープンケースからリーチインタイプに切り替える企業も増えている。また、ドラッグストアなど食品スーパー以外でも冷凍食品を取り扱う業態が増えている。

主な冷凍食品カテゴリーの金額PI月別推移

在宅勤務のランチやおやつ需要を取り込む

 前述したように冷凍食品はさまざまなアイテムを有しているが、昨年とくに好調だったサブカテゴリーを見てみよう【図表】。

 ワンプレートで食事が完結する冷凍弁当は、今注目のサブカテゴリーだ。なかでもニップンの「よくばりプレート」や「よくばり御膳」、個食米飯シリーズ「いまどきごはん」は好調に推移。ニッスイもご飯とおかずがセットになったワンプレートメニューの家庭用冷凍食品「まんぞくプレート ふっくらごはんとデミグラスハンバーグ」「同 ふっくらごはんと豚肉生姜焼き」を昨秋に投入している。

 中華麺というとこれまではチルド帯が中心だったが、近年は冷凍タイプの中華麺も登場している。ニチレイフーズでは電子レンジ調理対応の「冷やし中華」が半年で200万食を突破し、新たな市場を創造。ケンミン食品の「冷凍ケンミン焼ビーフン190g」は厚さ1.5㎝の極薄パッケージで買い置きに適している点や低カロリーの商品設計が健康志向のリモートワーカーからの支持を得た。

 デザート系冷凍食品も好調に推移する。日清製粉ウェルナの「Smart Table ミニチュロス」はトースターで簡単に調理できるミニサイズのチュロス。朝食や食後のスイーツ、在宅勤務時などに手軽に楽しめ、今春には新アイテムのいちごクリームソース入りを追加する。

 簡便性や即食性に優れた冷凍食品は、新しい生活様式にマッチした商品であり、売場の拡張を検討する価値は大いにある。とはいえ、これまでにないカテゴリーの商品も多く出てきていることから、サブカテゴリーごとにケースや棚の段を分けるなど、見せ方や視認性を高める工夫も重要になってきそうだ。

著者:ライター:石山真紀