堅調な拡大を続けてきた低カロリー甘味料市場だが、2022年9月頃から前年割れが続いている。継続的に低カロリー甘味料の価値や使い方などを提案して、新規ユーザーの獲得を図ることが必要だ。

景気低迷の影響で22年9月以降前年割れ

 健康や美容意識の高まりにより、拡大が続いている低カロリー甘味料市場。コロナ禍における内食機会の増加により、間口・奥行きともに広がったが、ここにきて踊り場にさしかかっている。

健康のイメージ
堅調な拡大を続けてきた低カロリー甘味料市場だが、2022年9月頃から前年割れが続いている(i-stock/west)

 KSP-POSデータの低カロリー甘味料の期間通算(2022年3月〜23年2月)の金額PIは、898円で対前年同期比1.4%減、数量PIは1.84で同5.3%減となった。月別金額PIでは3月から8月までは前年を上回って推移。そのなかでも5月〜8月の金額PIは微増なのに対し、数量PIは前年割れとなった。これは6月の値上げの影響が大きいといえる。さまざまな食品の値上げや燃料費の高騰などにより、家計への負担が大きくなっており、高額商品を控える傾向にあるため、低カロリー甘味料は買い控えの対象になっていることが予想される。9月以降は前年割れが続いており、数量PIでは2ケタ減の月もみられる。

 美容や健康に気づかう人は継続的に低カロリー甘味料を使用していることから、一時的に需要が下がっただけで、引き続き市場は堅調といえそう。世界的にみれば低カロリー甘味料の需要は高まっており、今後も拡大が予想される。

低カロリー甘味料の金額PIおよび金額PI対前年推移

顆粒タイプが市場をリード
液体タイプは認知アップが課題

 形状タイプ別にみると、砂糖の代替として使用する人が多いことから、顆粒タイプが中心だ。サラヤの「ラカントS顆粒」は、糖尿病リスク者はもちろん、若い女性からも支持されている。この春はパッケージデザインをリニューアル。「砂糖と同じ甘さで、カロリー&糖質0」という特長を大きく表記し、羅漢果生まれの植物由来甘味料であることをパッケージでアピールし、店頭での訴求力を高めた。

 ブランド認知率の高い味の素の「パルスイート®」ブランドは、俳優の神木龍之介さんを起用して機能だけでなく共感を促す情緒価値を訴求した広告展開で、ファンを広げている。

 日本リコスでは、糖類不使用・100%植物由来の「ステビアヘルス」を展開。砂糖と同量の使用で同じような甘さになるように、ステビアに含まれる複数の甘味成分を調整し、さらにタマネギなどに多く含まれるイヌリン(不溶性食物繊維)を配合した。より上白糖に近いすっきりとした甘さの〈ホワイト〉と、黒糖のようなコクを感じられる〈ブラウン〉の2種類をラインアップしている。

 浅田飴の「シュガーカットナチュレ」は、一般的な低カロリー甘味料で使用されている3つの食品添加物を使用せず、おいしい甘さの「還元麦芽糖水飴」とステビア、とうもろこし由来の食物繊維だけで仕上げた。

 溶け残りが少なく使いやすい液体タイプでは、味の素の「パルスイート®カロリーゼロ液体タイプ」が市場をリード。「カロリーオフで甘いを自由に」というキャッチコピーで、需要を促進している。サラヤの「ラカントSシロップ」は、リニューアル以降、味わいが高く評価され配荷が進み、好調に売上を伸ばしている。

 冷たい飲み物や調理の時短にもつながる液体タイプは、その価値や使い方が浸透していないため、店頭で訴求してトライアルを促進する必要がありそうだ。

著者:ライター:山田陽美