EC事業の総合支援を行ういつも.(東京都/坂本守社長)が、100%子会社のいつも.SNIFFを設立し、日本向け中国輸入代行事業でNo. 1クラスの実績を築くSNIFFグループ(以下、SNIFF)と戦略的パートナー契約を締結。中国国内で流通する商品やOEMODMによる商品の製造を行う商品企画支援サービスの提供を開始した。SNIFFBtoB越境ECサービスを手掛け、アリババグループに属する1688.comの日本正規パートナー。日本のEC市場に大きなインパクトを与え、注目が集まっている。事業責任者の石橋周氏に話を聞いた。

GMV年間16兆円のデータを活用

いつも社
左から1688余CEO、坂本守社長、SNIFF呉CEO

 「日本の未来をECでつくる」をミッションに掲げるいつも。日本の大手から中小に至る幅広い企業にEC事業の総合支援を手掛けている。一方、日本のEC市場で仕入代行サービス「THE CKB」を展開し「#中国輸入をもっと簡単に。」をキャッチフレーズにしているのがSNIFFだ。

 2023年10月、いつも100%出資で新会社いつも.SNIFFを設立。11月には日本のEC事業者、個人クリエイター、インフルエンサー向けの商品企画支援サービスの提供開始を発表した。ここ数年、ファッションD2CのSHEIN(シーイン)やD2CマーケットプレイスのTEMU(ティームー)など低価格戦略の越境EC企業が成長・拡大しており、日本の小売市場に与える影響は大きいと見込まれる。そんな中で、いつも.SNIFFのサービスでは、年間16兆円のGMV(Gross Merchandise Value=流通取引総額)を記録するアリババグループのサプライチェーンやビックデータを活用して、小ロット多品種の商品戦略にあわせたOEM・ODMによる製造が可能になる。さらに今後はトレンド予測やリサーチ、デザイン支援のサービス提供も計画しているという。

 いつもの新規事業担当者で、いつも.SNIFFの事業責任者を務める石橋周氏によると、同社の坂本守社長とSNIFFの吴烨彪CEOには5年ほど前から親交があったという。商品企画や製造まで踏み込んでEC総合支援をより充実させたい坂本社長と、日本市場にローカライズした事業展開をさらに加速・拡大させたい吴CEO、それぞれの思いが、いつも.SNIFFの設立につながったようだ。

  「われわれはECD2C戦略立案からフルフィルメントまでの総合支援を提供しており、製造を手伝ったこともあるが、基本的に工場の紹介まではしていなかった。しかし、ついにすべてのお客様に対して、本格的に商品企画・製造までをサポートできるようになった」と石橋氏。SNIFFにしても日本市場で実績を築いているものの、中国で製造された商品には品質面などに負のイメージが根強く持たれていることもあり、いつもと組むことによって信頼性の向上が望める。そのメリットは大きいだろう。

100万社超から3万社の工場を厳選

 いつも.SNIFFでは、中国の工場にOEM・ODMによる日本市場向けの商品製造を安心して託せる仕組みを構築している。アリババグループの1688.comには提携サプライヤーが100万社超あるが、石橋氏は「その中から、日本で求められるクオリティを担保できる3万社の工場を厳選している」と話す。さらには「現地に専属の買付担当が約200名いて、お客さまと1688.comの両方と打ち合わせしたうえで、希望の品質、ロット数、原価に合う2〜3社の工場を絞り込んで提案する。日本の市場で求められる商品の品質と中国の工場で製造される商品の品質のギャップを埋められ、かなり高い精度でお客様のニーズにお応えできる」と自信を見せる。

 製造可能な商品は、アパレル、アクセサリー、雑貨、家電、インテリア、家具、スポーツ用品、キッチン用品、工具、建材、その他。食品や薬機法に触れるものは除かれるが、まさに多種多様だ。1688.com40SKU超の商品を取り扱う中から、日本市場向けには1SKUを考えているという。これから提供予定のビッグデータを活用したトレンド予測やリサーチ、デザイン支援のサービスでは「プロダクトデザインの段階からクリエイティブをサポートする体制も構築中だ」(石橋氏)というから、オリジナル商品をゼロから作りたい相談も受け入れられるようになりそうだ。なお、人気ライフスタイルブランドやファッションSPA大手での実績がある顔ぶれも、ブレーンとして加わっている。

直接商談できて手数料も「見える化」

株式会社いつも
いつも新規事業担当者、いつも.SNIFF事業責任者の石橋周氏

 EC事業者や個人クリエイター、インフルエンサーが個別に製造を発注しようとする場合、現地に信頼の置けるネットワークを築けていなければ、数量、価格、品質、デザインのすべてにおいて手探り状態で、リスクが伴う。中国の工場で商品を製造しているものの、仲介する現地の代行会社やエージェントに支払う手数料が適正価格かどうかすらわからないという事業者も多いようだ。その点、いつも.SNIFFのサービスでは、信頼できる工場を紹介され、そのうえで「直接商談ができて、手数料も『見える化』される」(石橋氏)という。だからこそ、完全独自の商品でブランドイメージを確立したい場合も、すでに売れ筋となっているアイテムをベースにカスタマイズした商品を作る場合も、副業的にグッズなどをつくってECで販売したい場合も、すべて安心して相談できる。

 いつも.SNIFFが設立されるのとほぼ同時期に、伊藤忠商事もSNIFFと合弁会社を設立したが、提供される「THE CKB X」は「THE CKB」を大手小売企業向けにカスタマイズしたサービスである。もともとあった「THE CKB」は、いつも.SNIFFのサービスで活かされて、大手から中小まで企業規模を問わないばかりか、クリエイター、インフルエンサーといった個人に対しても提供される。

 石橋氏の話では「相当数のフォロワーを持っていて、ファッションアイテムや雑貨などを商品化してマネタイズしたいもののノウハウがない、といったインフルエンサーの方からの相談も寄せられている」とのこと。そこでインスタグラマー、YouTuber、TikTokerなどを対象にしたサポートも検討しているそうだ。在庫を中国の倉庫に保管し、購入者に直接発送される「THE CKB」の仕組みは、在庫を抱えるゆとりのない事業者、特に個人には助かるだろう。またグループ会社であるピースユーが展開するライブコマースは日本有数の流通額を誇っており、いつも.SNIFFのサービスに組み込めるため、セールスプロモーションの場として効果を発揮しそうだ。

 ECD2C戦略立案からフルフィルメントまでの事業サポートにとどまらず、OEMODMの工場を紹介し、取引も透明化。これまでになかった領域にまで踏み込み、ECビジネスの成功をワンストップで支援するいつも.SNIFFのサービスは、大企業から中小企業、個人に至るまで、幅広い層のさまざまな課題を解決に導くだろう。画期的な取り組みが今後、どのような展開を見せるのか。ビジネスチャンスと捉えての新規参入も増えそうであり、市場動向を注視していきたい。

著者:吉牟田祐司