「業務スーパー」を展開する神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)の2023年10月期連結決算は売上高、営業利益とも過去最高を更新したが、為替予約関連の時価評価損が響き、経常減益となった。24年10月期から開始した3カ年の中期経営計画では、26年10月期に売上高5430億円、営業利益370億円を数値目標として掲げる。どのような成長戦略を描いているのか。

業務スーパーの外観
SPAモデルを志向する業務スーパー(撮影:阿部幸治)

好調な既存店が売上と営業利益の2ケタ成長に寄与

 業務スーパーは加工食品や冷凍食品を中心に低価格の大容量商品を揃え、フランチャイズチェーン(FC)方式で店舗を展開する。プライベートブランド(PB)比率が高いのが特徴で35%近い。

 神戸物産の202310月期連結業績は、売上高4615億円 (対前期比13.5%増)、営業利益307億円(10.4%増)、経常利益299億円(同6.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益205億円(1.3%減)だった。

 売上高、営業利益はいずれも過去最高を更新した。FC本部としての加盟店への卸売やロイヤリティなどが含まれる売上高は、新規出店と既存店への商品出荷が好調に推移した結果、2210月期から547億円増加した。既存店が好調だったことで売上高は会社計画を上振れて着地した。

 営業面では好調だったにもかかわらず経常減益となったのは、リスクヘッジのための為替予約で約40億円のデリバティブ評価損を計上したことが響いた。純利益についても同じ理由によるものだ。同社によると、為替予約で調達コストを10億円以上抑えたものの、急速な円安で評価損が膨らんだという。

 業務スーパーは、直営が4店舗のみで、ほかはすべてFC店だ。なお同社のFC契約形態には、直轄エリア内(北海道・関東・関西・九州)に出店する際に締結するFC契約と、直轄エリア以外の地域において業務スーパーのチェーン化を許諾するエリアライセンス契約の2つがある。2310月期の出退店は、新規出店53店舗、閉鎖12店舗の純増41店舗。総店舗数は1048店舗(2310月末現在)となった。1026日には関東最大級の店舗面積を誇る直営店「横浜いずみ店」も出店した。

 2410月期は主力の業務スーパー事業の拡大を計画しており、202410月期末における「業務スーパー」店舗数は1083店舗(純増35店舗)になる見通しだ。商品面では、自社グループ工場への設備投資の継続と、直輸入商品の取り扱い拡大で、業務スーパーの強みであるPBの充実を図るという。

 2410月期の連結業績の見通しは売上高4980億円、営業利益310億円、経常利益330億円、親会社株主に帰属する当期純利益215億円だ。2310月期の最終減益から一転し過去最高を更新する見通しだ。

 

中計でめざす営業利益370億円 
PB、外食、業スー成長で実現へ

 2410月期を初年度とする3カ年の中期経営計画では、①外食・中食事業の拡大、②国内PBの生産能力強化、③業務スーパーの継続的な成長の3つの基本方針を挙げている。

 沼田博和社長は「食の総合企業として、小売業の業務スーパーだけではなく、外食、総菜など、いずれも神戸物産しかできない価値を提供していきたい」と話す。中計では数値目標として2610月期に売上高5430億円、営業利益370億円を掲げている。

 これまで以上に拡大するというのが外食・中食事業だ。外食・中食事業の売上高は109億円で、売上規模はまだまだ小さいが、2310月期は5割近い伸びを示している。外食・中食事業では、大型バイキング店「神戸クック・ワールドビュッフェ」(14店舗)、焼肉オーダーバイキング店「プレミアムカルビ」(20店舗)、総菜店「馳走菜(ちそうな)」(114店舗)の3業態を展開する。3業態の店舗数は合計148店舗だが、中計では外食・中食事業全体で継続的に出店を行い200店舗以上という目標を掲げている。なかでもプレミアムカルビについては、現在1都3県中心(東京3、神奈川8、埼玉6、千葉2のほか、栃木、静岡に1店舗ずつ)で展開しているが、地方での出店を含めてFC展開に乗り出す。

 過去3年ほど課題になっていたというのが国内PBの生産能力強化だ。大型の新工場2カ所を稼働させるほか、製造工場の増産投資を行い、PB比率を引き上げる。目標とするPB比率は37%だ。国内PB強化のため、設備投資については毎年100億円以上を計画している。

 業務スーパーの継続的な成長については、引き続き計画的な新規出店を行う。目標とする店舗数は1130店舗だ。併せて、最も重要視している既存店成長に力を注ぐ。既存店への出荷額を毎期2%以上成長させる計画だ。FC店に対して、省エネ什器や自動発注などの導入を促し、店舗運営の効率化を図るとしている。

 これらの中計で掲げた数値は現状の延長線上にある手堅い目標と言っていいだろう。ただ長期的には、業務スーパー店舗数1500店舗以上、PB比率40%以上、外食・中食事業の全業態で500店舗以上、物流拠点への投資による販管費率の改善、連結営業利益率10%以上を目標に掲げる。注目されるのは現在7%弱の営業利益率を10%以上に引き上げる点だ。売上規模を拡大しながら、PB比率の向上や販管費率改善による収益力向上に挑戦する。

著者:下田健司