スイーツ系チェーンストアで、常に人気ランキング上位につけるミスタードーナツ。低迷に苦しんだ時期もあったが、コロナ禍でテイクアウト需要の増加、またコラボ商品の展開などで再浮上し、現在は好調を続ける。今回はそんなミスタードーナツの1号店に足を運んでみた。

創業秘話も知ることができる1号店

売り切れ続出のコラボ商品

 行き先は、大阪府北部の箕面市。大阪都市圏のベッドタウンとして発展し、閑静な住宅地が広がることで知られている。一部に企業の経営者、また芸能人の邸宅が並ぶ高級住宅地もあり、関西でも知名度の高いエリアのひとつだ。

 阪急電鉄箕面線の「箕面」駅から徒歩5分、みのお本通り商店街の一角に1号店はある。電車を降りた私は早速、現地へと向かった。

阪急電鉄箕面線の「箕面」駅から徒歩5分、みのお本通り商店街の一角に店はある

 あらためてミスタードーナツの歴史に触れると、国内1号店の「箕面ショップ」がオープンしたのが1971年。その後、店舗網を増やすとともに新商品を次々と発売、着実に人気を獲得していく。

 公式サイトには、1974年「第100号店八代ショップオープン」、1978年「第200号赤羽ショップオープン」、1980年「創立以来の累計売上が1000億円を突破」とある。急速に店舗網と事業を拡大した様子が伝わってくる。

 だが、現在に至るまでは順風満帆だったわけではない。店舗数は右肩上がりを続けたものの、不振店も多く、一時は売上高が伸び悩むなど低迷を経験している。21年3月期まで店舗数は減り続けたが、22年3月期、各種の施策が実って9年ぶりに増加に転じる。ドーナツブームの再来、コロナ禍にはテイクアウト需要もあり、以来、今日まで好調を続ける。2023年3月期末時点での国内店舗数は997となっている。

 近年、支持を得る商品政策のひとつがコラボレーション企画だ。直近では今年1月11日から、ベルギーの高級チョコレートブランド「GODIVA」と共同開発した4つの限定商品を販売している。

 「限定」という言葉に弱い筆者は、ぜひ食べてみたいと思い、「京都」駅にあるショップへ。長い行列に耐えた苦労が報われことなく、最初の店では品切れで全4種のうち2つしか手に入らなかった。諦め切れず、次の店でようやく全商品を揃えたという次第だ。精算時、質問するとスタッフのお姉さんは「どれも大人気で、すぐに売り切れる」と話していた。

「GODIVA」と共同開発したドーナツを買うため京都のショップへ。最初に訪れた店舗では一部が売り切れだった
購入した4種類の限定商品。女性スタッフは「どれも大人気で、すぐに売り切れる」と話していた

 そうこうしている間に、1号店に到着。見上げると、看板には「0001」と店舗ナンバーがを示す数字がある。入り口の横には「箕面ショップ 限定ドーナツ販売中」と書かれたポスターが貼られている。「創業時のなつかしい味のドーナツを数量限定で販売中」との文字に心が躍った。

1号店に到着する
看板には「0001」と店舗ナンバーを示す数字がある

 期待に胸を膨らませ、私は入店した。

オープン当時の素朴な味を楽しむ

 ショーケースの前に立ち、どれを買うかを検討する。1号店の限定ドーナツには「箕面ショップ限定」というPOPが添えられている。11種類あり、散々悩んだ末に「コーヒーロール」と「パウダード」を選択、さらに最近のメニューであるパイを注文した。ドリンクはアイスコーヒーである。

限定品には「箕面ショップ限定」というPOPが添えられている
トレイを受け取り、テーブルへ移動。見渡すと、店内はほぼ満席だった

 トレイを受け取りテーブルへ移動。周囲を見ると、ほぼ満席である。地域の奥様、男性会社員、学生風など、客層は多様だったが、どの人も楽しそうであるのが印象的だった。

 いよいよドーナツをいただく。

 まずは「コーヒーロール」から。一口頬張ると、素朴な味がする。この店がオープンした約50年前の人と今、同じものを食べていると思うと感激である。続いて粉糖をまぶしてある「パウダード」。これもストレートなおいしさ。続いてパイも食べたが、最高だった。

 すべてを平らげ、満足感にひたりながら周囲を観察すると、壁にはあちらこちらに様々なボード、ポスターなどが掲げられているのを発見する。近づくと、ミスタードーナツにまつわるエピソードが多数紹介されている。

 「ミスタードーナツ誕生秘話 〜夢と勇気の決断〜」と題した掲示物には、フランチャイズ権を得るため、渡米したダスキン創業者の体験談が書かれていた。

「ミスタードーナツ誕生秘話 〜夢と勇気の決断〜」と題した掲示物

 ミスタードーナツ・オブ・アメリカ社から提示された金額は「42万5000ドル」。当時の日本円で約1億5300万円。ダスキンの資本金の2倍にもおよぶ契約金に戸惑ったとある。それはそうだろう、失敗すれば本業も吹き飛ぶ可能性がある。それでも創業者は考え抜き、契約を決断したとある。そのおかげで今、われわれはおいしいドーナツを食べることができるようになった。

 また「箕面ショップ 一時閉店」との記事もあった。「2001年5月末、ショッピングセンターの撤退に伴い、閉店。地域のみなさまから復活希望の想いを込めた署名・嘆願書をいただく。2004年、現在の場所にショップが再オープン。現在に至る」。こういうのを知ると、ドーナツのおいしさも増すというものだ。

1号店は一度閉店しており、地域からの要望で再オープンしたことを知る

 ほかにも古い写真も数多くあった。それにより当時は24時間営業だったことを知る。深い情報が満載で充実した時間を過ごすことができた。興味がある方は、ぜひ箕面ショップへ行くことをおすすめする。

著者:サテライトスコープ代表:森本守人