フジ(広島県/山口普社長)は4月10日、2025年2月期の通期決算を発表した。マックスバリュ西日本との統合を完了し、新体制下では初の通期決算となったが、収益性の低下や減損損失の計上などが響き、営業利益以下の段階利益はいずれも2ケタの減益となった。一方、積極投資による競争力強化の取り組みは進行中で、今後は統合シナジーの創出と構造改革の定着を通じて、収益基盤の立て直しを図る構えだ。

統合初年度は投資が先行、25年通期は減益で着地
フジの25年2月期通期決算(連結)は、営業収益が対前期比1.0%増の8089億円と過去最高を更新した。一方、営業利益は同14.3%減の129億円、経常利益は同17.6%減の143億円、当期純利益は同48.7%減の38億円と各利益は大きく落ち込み、増収減益での着地となった。
減益の主因は、マックスバリュ西日本との統合初年度にあたる25年2月期に、既存店の建て替えや改装、販促強化などに積極投資を行ったことに加え、エネルギー価格や物流費の高騰、人件費の上昇といったコスト増が収益を圧迫したことだ。さらに、収益性が低下した店舗を対象に減損処理を行い、店舗資産にかかる特別損失として48億円超を計上したことが、最終利益を大きく押し下げた。
販売面では、食料品が堅調だったことで、既存店売上高は対前期比1.8%増と一定の成果をあげたが、客数の減少傾向は継続(同0.5%減)。客単価の上昇と一品単価の高止まりによって売上増を維持する構造となっている。消費の二極化が進むなかで、フジは引き続き価格訴求と価値訴求の両立に取り組んでいく構えだ。
構造改革の推進で収益回復へ道筋
こうしたなか、フジは24年度からスタートした中期経営計画(24〜26年度)の達成に向けて、「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」「企業文化の確立」の三本柱を据え、構造改革を進めている。

まず「既存事業の改革」では「売上総利益の改善に直結する」(山口社長)として、商品構成の見直しに力を入れており、オリジナル商品とイオングループのプライベートブランド「トップバリュ」の拡大を推進。現在、トップバリュの売上高構成比は8.0%、オリジナル商品が同3.4%を占めるが、これを中計の最終年度にあたる26年度中にそれぞれ10%、5%に引き上げる目標を掲げている。
加えて、24年度は老朽化した既存店を対象に37店舗の活性化を行ったほか、新規出店やスクラップ&ビルドも実施し、「地域とのつながり」を軸にした店舗づくりを進めた。改装店舗のなかには、売上が2ケタ成長を示す例もあり、今後も継続的に取り組む方針だ。
「企業文化の確立」では、店長・スーパーバイザー・主任クラスを対象にした「52週MD研修」を実施。実際の売場で成果を上げた取り組みを全社で共有・横展開できるようにするなど、好事例を基にしたナレッジの循環体制も整いつつある。
「事業インフラの統合とシナジー創出」では、マックスバリュ西日本との統合を契機に、物流センターやプロセスセンター(PC)の再編を進行中だ。屋号をまたいだ供給体制の再構築によって、配送効率や在庫管理精度の向上につなげている。山口社長は「システム統合は当初の計画通り、むしろ一部前倒しで進んでいる」とし、統合フェーズは順調との見方を示した。
26年2月期の通期業績予想では、営業収益が対前期比0.7%増の8150億円、営業利益が同19.6%増の155億円、経常利益は同17.4%増の168億円、当期純利益が同44.0%増の55億円と増収・大幅増益を見込む。減損など一時要因の剥落に加え、構造改革や投資効果の顕在化が業績回復を後押しする見通しだ。
フジは統合初年度の負荷を乗り越えつつ、構造改革と投資効果の定着を加速させる構えだ。25年度は、持続的な成長軌道への転換が試される一年となる。
著者:植芝 千景


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