大手外食チェーンのワタミ(東京都/渡邉美樹会長兼社長)は513日、20253月期の通期連結決算を発表した。主力3事業である国内外食、宅食、海外事業はいずれも増収増益となり、グループ全体の営業利益は増益を達成した。一方で、243月期に発生した為替差益がなくなったため、経常利益と親会社に帰属する当期純利益は減益となった。

ワタミ
ワタミ(東京都)の渡邉美樹会長兼社長

263月期に向けて土台が整った1年

 ワタミの253月期の通期決算(連結)は、売上高が対前期比7.8%増の887億円、営業利益が同21.7%増の45億円、経常利益が同12.2%減の52億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15.9%減の35億円だった。

 渡邉会長兼社長は、24年度を「創業40周年の節目にふさわしい、非常に良い一年だった」と総括した。その理由として、「まず、2年間の準備を経て、宅食事業での商品開発がしっかりと進められたこと。次に、国内外食事業ではサブウェイ事業の償却負担を吸収しながらも増益を実現し、今後の出店に向けた体制が整ったこと。そして、海外事業ではシンガポールとアメリカでのMAが成立し、それに伴うコストを吸収したうえで増益を確保できたこと」の3点を挙げた。そのうえで、「263月期に向けた土台が整い、その結果としての(営業)増益は非常に価値のあるものだ」と述べた。

宅配弁当の新商品開発に注力

 主力の3事業である国内外食、宅食、海外事業をセグメント別に見ていくと、国内外食事業の売上高は同7.3%増の343億円、営業利益は同23.2%増の16億円だった。コロナ禍が明けての宴会需要の復活により居酒屋業態の売上高が増加したのに加え、インバウンド需要により焼肉業態、すし業態も好調に推移した。

 さらにワタミは、2410月に日本サブウェイ(東京都/阿相智久社長)を子会社化し、アメリカのサブウェイ社と日本国内での直営店の出店に加えて、フランチャイズ(FC)を募集する権利を得るマスターフランチャイズ契約を締結した。これにより、サブウェイのFC店舗186店を承継し、253月末の国内外食事業店舗数は全業態で492店舗となった。

 宅食事業は、弁当や総菜の累計販売数こそ前期を下回ったものの、価格戦略や生産性向上の取り組みが奏功し、売上高は同0.4%増の402億円、営業利益は同16.3%増の47億円で増収増益となった。

 同事業では新商品として、和食を中心とした冷蔵の宅配弁当「好い日の御前」(税込450円・ 1食あたり)を253月から一部地域で先行販売。2510月から全国での取り扱いがスタートする。渡邉会長兼社長は「品質にこだわったうえで、手頃な価格を実現できた。この物価高のなかでも、価格優位性の高い商品に仕上がっている」と自信を見せた。

 新商品の投入に加え、冷凍食品の取り扱いも拡充し、25年度は弁当や総菜を含めた累計販売数を前年度の24万食から28万食へと増やすことをめざす。

 アジア圏を中心に展開する海外事業は、売上高が同57.8%増の108億円、営業利益が1億円(前期は1億円の赤字)だった。香港における不採算店舗の整理に加え、242月にシンガポールの外食向け食品会社「Leader Food」、同年4月に米国で寿司の製造・卸売を手がける「SONNY SUSHI COMPANY」からの事業承継により増収増益となった。

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ワタミ取締役 常務執行役員 ワタミインターナショナル代表取締役 渡邉将也氏

 263月期は、国内外食事業ではサブウェイの35店舗の新規出店、宅食事業では累計販売数28万食の達成、さらに海外事業では米国での出店を目標に掲げる。

 なお、ワタミは263月期の業績予想について、現段階ではウクライナ情勢や米国の関税政策などにより不確実性が増しており、合理的な予測が困難なことから業績予想は現時点では未定としている。今後は情勢の推移を注視しつつ、予測が可能となった時点で改めて開示する方針だ。

著者:ダイヤモンド・リテイルメディア