定年後に再雇用で働こうと考えている人も多いかもしれないが、給与の金額によってはもらえる年金が減ることがある。定年後は現役時代よりも収入が減るケースが大半だが、なぜ稼ぎすぎると年金が減るのだろうか。知らないと定年後に収入が減って、困ることになるかもしれない。
■定年後の再雇用、月28万円稼ぐと年金が減る?働くときの注意点
再雇用で働くと年金が減るかもしれない。定年後は収入が減ることが多いのに、年金まで減るのか。再雇用の前と後、何が変わるのか理解していないと、生活費が足りず自分や家族が困ることも。老後の働き方として最低限おさえるべき点がある。
●収入が多いと年金が減らされる
年金は、老後の生活で困らないようにもらうものなので、収入が多いと減らされてしまう。
基準となる額は、60歳代前半だと28万円、65歳以降だと47万円だ。厚生年金と給料の合計額が、1ヵ月あたりで基準額を越すと減額される。
ただし2022年4月以降は制度が変わり、60歳代前半の人の基準額が28万円から47万円に緩和された。
60歳以降の年金額はその時代の制度次第で変わる。親や会社の先輩など、上の世代と同じ額の年金がもらえるとは限らない。
●再雇用契約は1年更新のケースが多い
再雇用契約の結び方としてよく見られるのが、1年更新のタイプだ。更新されず、翌年に雇止めにあう可能性はあるのか?
結論としては、正当な理由なく企業が雇止めをすれば基本的に違法だ。65歳までの就業機会の確保が、法律で企業に義務化されている。理由なく雇止めはできない。
勤務態度が良くない場合や、業績悪化で整理解雇が必要な場合など、企業が契約更新を拒絶できる場合もあるが、基本的には再雇用後に65歳まで働き続けられる。
■再雇用で年収が大きく減る?定年後に働くうえで確認すべき手当と注意点
再雇用で定年後も働く場合、今もらっている手当が再雇用後も出るとは限らないので、思った以上に給料が減ることがある。定年後になくなる手当の種類や金額を確認しておかないと、定年後の生活設計が狂って困るかもしれない。
●家族がいても「家族手当」が出なくなる場合がある
定年の前でも後でも、家族がいるなら家族手当が出ると思いがちですが、会社によっては定年後だと家族手当が出ない。
家族手当は、家族を養う勤労世代向けの手当であり、子育てで生活費がかかる人や配偶者が専業主婦(主夫)で収入が少ない人に、補助として出す意味合いが強いからだ。
定年後だと子育てが終わり、配偶者は年金収入があるケースが多いので、家族手当の目的から外れると考えて、会社が不支給とする場合がある。
家族手当の額は会社によって違うが、例えば配偶者がいる人に出る手当は一般的に月1万円前後だ。再雇用後にこれがなくなると、その分収入が減る。
●再雇用後に役付きでなくなれば「役職手当」は出ない
たとえば、部長職で月10万円の役職手当が付いていた人の場合、再雇用で手当がなくなると年収が120万円減る。
役職手当は金額が大きくなるケースが多く、それが定年後になくなると年収が大きく減るので注意が必要だ。
定年前でも後でも一般的に出る通勤手当のような手当もあるが、再雇用後の給与体系は会社によって違うので、働き続けるつもりなら勤務先の規定をよく確認しておきたい。
文/編集・dメニューマネー編集部