給料がなかなか上がらず、奨学金を返すのが苦しくなっている人は、猶予を申し込むといいかもしれない。たとえば、収入が減った場合、書類だけで返済を待ってもらえることがある。ほかにも返済を遅らせる方法はあるというが、どんな方法なのだろうか。対象はどんな人なのか。働きながら奨学金を返すために、何か賢い返済方法やコツはないのだろうか。

■「奨学金が返せない!」放置は危険、待ってもらうためにこの手続きする方法

コロナ禍で仕事を失ったり、収入が減ったりして、奨学金の返済に困っている人が増えているようだ。日本学生支援機構のウェブサイトにも、よくある質問として「新型コロナウィルス感染症の影響により収入が減ったため、一定期間返還を待ってもらうことはできますか」という項目があがっている。実は失業した場合、奨学金の返済は手続きさえすれば待ってもらえる。

●失業中なら簡単な手続きで支払いを延期できる

返済を待ってもらうには、どうすればいいのだろうか。

失業して7カ月目までなら、失業中であることが分る雇用保険の離職票や受給資格者証のコピーとともに「奨学金返還期限猶予願」を同機構に送れば、返済を延期できる。

もし失業期間が7カ月を超える場合も返済延期を申し込める。この場合、前年の収入や現在の状況、翌年の予想収入により審査が行なわれる。

●失業ではなく「給与が減った」場合はどうすればいい?

失業でなく給与が減った場合はどうすればいいのか。

収入が減って経済困難になったことが分かる書類を提出す。その例としては次のようなものがある。

・ 直近連続3か月分の給与明細コピー
・ 勤務先発行の給与証明書
・ 勤務先発行の減収証明書

サラリーマンなど給与所得者ではなく、自営業者の場合は、本人の収入が分かる帳簿の直近連続3ヵ月のコピーを提出する。

■「奨学金」返済で苦しまないためのコツ

奨学金の返済に苦しむケースは意外に多い。奨学金の返済を「苦しい」と感じている人は正規雇用の人で4割、非正規雇用 では6 割弱もいる(労働者福祉中央協議会)。奨学金を無理なく返済するためにはどうしたらよいのだろう?返済が苦しくなった時の救済措置はあるのだろうか?

●完済までの返済計画を立てる

奨学金の返済期間は10年以上にもおよぶケースが多いため、無理なく返済できる計画を立てておくことが大切だ。

無理ない返済計画を立てるには、まず「毎月いくら」「いつまで返済が続くのか」を知ることだ。日本学生支援機構のWebサイトでは、毎月の返済額と返済期間を試算できるシミュレーターが利用できる。

これから奨学金を利用するなら、このシミュレーターを使ってどのくらいの金額までなら無理なく返済できるか予想するといいだろう。

●余裕があるなら繰上げ返済する

奨学金は繰上げ返済もできる。有利子の奨学金なら、期日より早く返済することで利息の負担が軽くなるため、返済する奨学金の総額を減らせる。

もちろん無理のない範囲で返済することが大切だが、余裕があるなら繰上げ返済して支払う利息を減らすのも一案だ。

ただし親が代わりに奨学金を返済する場合は注意が必要だ。基本的に奨学金の肩代わりは贈与にあたるため、年間110万円を超える金額を代わりに支払う場合は贈与税がかかる。

また、奨学金はそもそも利息が高くないため、繰上げ返済する余裕があるなら、その資金は他の借金返済などに充てたほうがよいだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部