夏が近づくにつれて気になってくるのが夏休み公開の大作映画の数々。この夏の注目作品の1つがトム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(7月28日公開)です。『トランスフォーマー』シリーズや『スター・トレック』シリーズの脚本・プロデュースを手がけたアレックス・カーツマンが監督を務め、ヒット要素に事欠かない本作。さらに注目すべきはこの作品を皮切りに「ダーク・ユニバース」と題した新シリーズが始動することです。

古典的モンスターが現代に復活!「ダーク・ユニバース」

「ダーク・ユニバース」とは、ハリウッドの大手映画会社のユニバーサル・スタジオが1930年代に発表したモンスター映画をリブートしていくプロジェクトです。第一弾となる『ザ・マミー』は、1932年公開の『ミイラ再生』をベースにしたアクション・アドベンチャー。2000年の時を経て現代にあらわれた古代エジプトの王女と、飛行機事故による死から甦った男との人類の存亡をかけた戦いを描きます。

この映画に続く「ダーク・ユニバース」の第2弾として準備中なのが1935年の映画『フランケンシュタインの花嫁』のリブート版。フランケンシュタイン役としてアカデミー俳優のハビエル・バルデムの出演が決定しており、2019年の公開が予定されています。さらに第3弾以降の作品であのジョニー・デップが透明人間を演じることもアナウンス。現段階でリブートが発表されているモンスター以外にも、今後ドラキュラや狼男などのおなじみのモンスターが現代に復活する可能性が非常に高く、早くも熱心な映画ファンはその動向に気を配っています。

シネマティック・ユニバースの代表といえば?

「ダーク・ユニバース」として公開される各映画は、作品間で同じ世界観を共有しています。『ザ・マミー』でラッセル・クロウが演じるヘンリー・ジキル博士は、「ダーク・ユニバース」作品に同じキャラクターとして登場します。例えるなら『アベンジャーズ』(2012年)などマーベル・スタジオの諸作品に登場するニック・フューリーのような存在です。

今ハリウッドでは、このように同一の世界観を共有するクロスオーバー作品、いわゆる“シネマティック・ユニバース”と呼ばれる体制を複数の映画会社が展開しています。すでに映画ファンにおなじみのもので言えば、マーベル・スタジオの作品群が共有する世界観「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)」です。

「MCU」は2008年の『アイアンマン』を皮切りにさまざまなヒーローの映画を公開。『アベンジャーズ』では、個々の作品で活躍したヒーローが共闘する夢の展開を迎えました。「MCU」は現在も作品、キャラクター共に増え続けており、今年の夏には『スパイダーマン:ホームカミング』(8月11日公開)が控えています。

またマーベルと人気を二分するDCコミックもスーパーマンを主人公にした『マン・オブ・スティール』(2013年)を皮切りに、シネマティック・ユニバース化が行われました。こちらは「DCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)」と名付けられ、2016年には『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開。2017年は『ワンダー・ウーマン』(8月25日公開)、『ジャスティス・リーグ』(11月23日公開)の公開が控えています。

人気のヒーローが時にはぶつかり合いながらも地球の平和のために共闘するというストーリー展開や、同じ世界観を共有する関連作を見ることで、世界観に深みを与えるという点でファンのツボを刺激しています。また固定ファンからの安定した興収を見込めるという点もこの潮流を加速させている要因なのでしょう。

ハリウッド映画のシネマティック・ユニバース化が止まらない!?

「ダーク・ユニバース」、「MCU」、「DCEU」以外にも、2014年公開のハリウッド版『GODZIILA ゴジラ』を製作したレジェンダリー・ピクチャーズが東宝と提携し「モンスター・バース」のいう名前で怪獣映画をユニバース化。今年公開された『キングコング:髑髏島の巨神』でも示唆されていたように、2020年公開の映画でゴジラとキングコングの夢の怪獣対決を予定しています。

またソニー・ピクチャーズも「スパイダーマン」に登場するキャラクターを主人公としたスピンオフ・シリーズを予定。これらの他にも今後、ユニバース化される作品やシリーズが出てくる可能性は大いにあるでしょう。

シネマティック・ユニバース化により、高額な予算が投入される大作映画と低予算のインディーズ映画の二極化はさらに進行し、作家性の強い監督が新作を撮ることが難しくなっているという懸念の声もあります。しかし、映画ファンにはおなじみのモンスターが豪華スターの共演と現代の映像技術で鮮やかにスクリーンによみがえるのはうれしいものです。今後の「ダーク・ユニバース」の展開を知るためにも記念すべき1作目『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』をスクリーンでチェックしてみては?

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)