文=久美雪/Avanti Press

ダダンダンダダンっ! たったこれだけの音で、文字で、映画の名前が浮かんでくるほど人気を博し、強烈なイメージを残し続けている『ターミネーター』シリーズ。なかでも傑作としての呼び声が高いのが、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演した2作目『ターミネーター2』です。なんとそれがこの夏『ターミネーター2 3D』と題し、劇中の名台詞「アイル・ビー・バック」よろしく、3Dでスクリーンに帰ってきます。しかもシュワちゃんの産毛までくっきり映るほどの4Kデジタルリマスターの高画質で!

いくらSF映画の金字塔とはいえ、26年前の作品であるだけに未見の人も多いかもしれません。『ターミネーター』シリーズは、人類の殲滅を目的とする軍用コンピュータ「スカイネット」と人類との戦いを描いています。2作目となる本作では、未来世界で人類側の抵抗軍のリーダーとなる運命を背負った少年ジョン・コナー(エドワード・ファーロング)が登場。彼の命を奪うべくスカイネットが未来から送り込んできた液体金属ターミネーターT-1000(ロバート・パトリック)と、ジョンを救うべく抵抗軍が遣わしたターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)が戦いを繰り広げます。

監督はジェームズ・キャメロン。2009年に公開された監督作の『アバター』では、革新的な3D映像で観客を魅了し、世界興収1位を記録。その記録は今も破られていません(さらに言えば世界興収2位の『タイタニック』も同監督!)。その後、映画業界は一斉に3D化への舵を切りはじめるなど、キャメロン監督が3Dブームのきっかけを作ったといっても過言ではありません。『ターミネーター2 3D』は、そのキャメロン監督が監修しただけあり、仕上がりは相当なもの。さらに驚くべきは、4Kデジタルリマスター効果による高画質化。単純な3D化とは一味違う、キャメロン監督の手腕に唸らされる作品となりました。

奥行き感のある3Dで作品世界へダイブ

『ターミネーター2 3D』の3D映像は、一言でいえば深い奥行き感。これは後で3D化する場合、技術上の問題で奥行きを出すより、飛び出させる加工のほうが難しいという理由もあるかもしれませんが、むしろキャメロン監督の3D映像に対する考えが反映されているのだと思います。キャメロン監督は奥行きを深く見せることで、映画のシーンのなかに自分が存在しているような感覚に浸らせたいのです。『アバター』が革新的だといわれたのは、それまで3D映像は飛び出すものと考えられていたのに、奥行きによる没入表現に優れていたからだとも言われています。

冒頭に登場する荒廃した未来世界からその効果は存分に発揮。奥行き感のある3D演出により、気分はのっけからSF世界に浸れます。劇中の白眉ともいえるのが、車で逃げるジョン・コナーらを警察官の姿をしたT-1000が走って追いかけるシーン。人間ならば車で逃げ切れるはずですが、T-1000の速さは規格外。画面の奥からこちらに向かってどんどん近づいてくる怖さといったら……。ぜひ体感してほしい場面です。

産毛、汗玉、前髪…その生々しさたるや

「35ミリのオリジナル映像の最も良好な状態のものを選び、4K解像度のデジタルデータに変換」したという本作。その高画質は想像を超え、まるで最近撮影されたかのよう。お馴染みの裸でうずくまるシュワルツネッガーの登場シーンでは、その身体に薄っすらと生える産毛の1本1本まで鮮明に描写。ほかにもジョン・コナーの母親サラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンの鍛え上げた二の腕に浮かぶ汗の玉。さらには本作でデビューを飾り、公開当時日本でアイドル的人気を博したエドワード・ファーロングのサラサラの前髪などなど。これらが3D効果とあいまって、その生々しさたるや……。正直、フェチ心をくすぐられます。

3Dと4K効果で、新しい『ターミネーター2』の世界を体感できるのは折り紙付き。こうなってくるとキャメロン監督自身の手によるシリーズ新作もぜひ見たいところ。しかし、現在は『アバター』の続編に取り掛かっているため、しばらくは拝めそうにありません。とはいえ、期待できる情報も。実は本シリーズの権利をキャメロン監督は格安で譲ってしまったため、現在は持っていません。ところが、アメリカの著作権法には、35年後に著作権が著作者に戻ってくる「終了権」というものがあります。シリーズ1作目が製作されたのは1984年。つまり、2019年にキャメロン監督が終了権を行使すれば、自身の手に権利を取り戻せるということになります。これは楽しみ。そこでまずは本作で『ターミネーター』シリーズの世界にどっぷり浸かって、新作を待ちわびるのはいかがでしょうか。