文=金田裕美子/Avanti Press

夏にぴったりのアツーい映画が公開されました。時代劇、SF、アクション、コメディ、ミステリー、人間ドラマと、あらゆる要素がつまりまくった『銀魂』です。空知英秋による原作は、現在第69巻まで刊行されており、累計1100万部突破という超人気マンガ。テレビアニメ、ゲーム、アニメーション映画がつくられ、満を持して豪華キャストの実写版が登場したのであります。

マヨラーから「映画の料理作ってみたら」への挑戦状!?

熱狂的ファンを持つ『銀魂』の魅力は、なんといってもその濃すぎる登場人物たち。主人公・銀時をはじめ、みんなカッコいいけれど、一癖も二癖も百癖もある人ばかりです。彼らは信念だけでなく、物や人、食べ物に対する執着がハンパじゃない。中でも、「映画の料理作ってみたら」的に最も衝撃的な人物が、特殊警察・真選組の「鬼の副長」、土方十四郎(柳楽優弥)です。くわえ煙草のニヒルな外見からは想像もつきませんが、丼ご飯にマヨネーズをどっちゃりかけた「マヨ丼」が大好物という究極のマヨラーなのです!

映画に登場するおいしそうな料理を再現して食べてみようと、毎回涙ぐましい努力を重ねてきたこのコーナー。しかし今回は、どう考えてもおいしくなさそうな、そして料理と呼んでいいのか?というところからして疑問な、この土方の「マヨ丼」に挑戦いたします。うっぷ、考えただけで胸やけが……。

『銀魂』の舞台は幕末の江戸。といっても、町の中心には高層ビルが立ち並び、宙には乗り物が行きかう近未来チックな江戸です。宇宙から天人(あまんと)と呼ばれる異星人が襲来、抵抗のかいもなく地球人は敗れ、町はすっかり天人たちに支配されているのです。攘夷戦争で死闘を繰り広げた侍たちは、今では刀の所持を禁じられ、行き場を失っているのでした。

かつて「白夜叉」と呼ばれ天人にも恐れられた伝説の侍、坂田銀時(小栗旬)もそんなひとり。なんでも屋「万事屋(よろずや)銀ちゃん」の店主に落ち着いて、のらくら日々を過ごしています。剣術道場の跡取り息子・新八(菅田将暉)と宇宙最強といわれる夜兎族の神楽(橋本環奈)を雇ってはいるものの、ろくな仕事もない毎日。そんなある日、鍛冶屋から盗まれた名刀「紅桜」の捜索を依頼されます。同じころ、銀時の盟友・桂小太郎(岡田将生)が行方不明になり、江戸で流行している辻斬りと紅桜、そして高杉晋助(堂本剛)率いる鬼兵隊が事件にかかわっているらしいことがわかってくるのですが……。

お話を要約するとハードボイルドなアクション時代劇みたいに聞こえますが、全編ギャグ満載、パロディ満載の爆笑映画。オバQみたいな天人・エリザベスが登場するシーンでは、「マンガやアニメならいいけど、実写になると着ぐるみ感は否めないよね」と登場人物自らツッコミを入れてしまうなど、楽屋落ちもいっぱいです。

ご飯にあうマヨネーズグランプリ発表!

で、肝心のマヨ丼。江戸壊滅を企む鬼兵隊のアジトに、万事屋と真選組の面々が乗り込んでいくのですが、その時、土方が「食わないと力が出ねえんだよ」と言いながら食べているのがこのマヨ丼です。これを再現するのは超簡単、ご飯を炊いてマヨネーズをかけるだけ。しかし、せっかくならおいしいマヨ丼を! というわけで、開催いたしました、「第1回マヨ丼にあうマヨネーズを探せ!」コンテスト。スーパーや輸入食材店からマヨネーズを買い集め、エントリーしたマヨネーズを4人の審査員が試食。順位をつけて、輝ける「マヨ丼にあうマヨネーズグランプリ」を決定するという趣向でございます。

エントリーナンバー1は、日本で6割以上のシェアを誇る鉄板商品、「キューピーマヨネーズ」。エントリーナンバー2は、これまたみなさまおなじみの「味の素ピュアセレクトマヨネーズ」。エントリーナンバー3は本場フランス(マヨネーズはフランス語らしい)から「ルシュー・マヨネーズ」。エントリーナンバー4は、アメリカからベストフーズの「リアルマヨネーズ」。海外からのお二方はビン入りで登場です。そして、一応「映画の料理を作ってみる」ということで、手作りマヨネーズをナンバー5としてエントリーさせました。

マヨネーズの基本材料は、卵、お酢、サラダオイル、塩。シンプルなだけに、素材の味がそのまま完成品に反映されます。全卵を使ったタイプと卵黄だけを使ったタイプがあり、世界的に見ると一般的なのは全卵を使ったものだそうですが、キューピーは卵黄タイプ、味の素は全卵タイプです。作るにあたってどちらにしようか迷った末、卵黄タイプにしました。なぜなら、それでなくても山のようにマヨネーズを買い込んできたのに、手作りマヨネーズが大量にできちゃったら困るから。ちょっとでも完成量を減らそうという作戦です(大して変わらない気もするが)。お酢は、米酢またはワインビネガーを使うのが一般的。今回はマヨ丼に合うマヨネーズを追求しているので、ご飯と同じ原料の米酢にしました。オイルも、オリーブオイルではなく菜種油を使用。

マヨネーズ、手作りしてみるとっ!

室温にもどした卵黄1個をボウルに入れ、米酢大さじ1、塩少々を入れて泡立て器でよくかき混ぜます。ここにサラダオイルを少しずつ加えながらさらにかき混ぜます。ふつう液体を加えると段々サラサラになっていくものですが、あーら不思議。オイルを加えるほどボウルの中身は白っぽく、固くなっていきます。しかし、マヨネーズというにはまだ柔らかい。もうちょっとかな? もうちょっと? と足していき、ツノが立つ固さになる頃には、200cc以上のサラダオイルが投入されていたのでありました。うえー、マヨネーズってほとんど油じゃん! 

そうなのです。農林水産省の規格でも、マヨネーズは「食用植物油脂の重量の割合が65%以上」とされているのであります。これ、大さじ1杯あたり約100キロカロリー。ご飯ににゅるる〜とマヨネーズをたっぷりのせ、「土方スペシャル」と呼ばれるマヨ丼を作ってみましたが、これはいったい何キロカロリーあるのでしょう。さらに。食べてみたら、うおおお、しょっぱい。マヨネーズは基本的に何かに付けたり和えたりするように作られているので、かなりしょっぱいのです。人がちょうどいいと感じる塩分が1%前後なのに対し、一般的なマヨネーズの塩分は2%。どんだけ高カロリー、塩分過多なんだ、土方。戦いに赴くにあたり、エネルギーと汗で失われがちなナトリウムを補給しているのか……。

そういえばもうひとり、映画の中のマヨラーを思い出しました。『ノッティングヒルの恋人』に登場する、書店を営むウィリアム(ヒュー・グラント)のヘンな同居人スパイク(リス・エヴァンス)です。ビンから何やらスプーンで食べながら「このヨーグルト、おかしな味がする」と言うスパイクに、「それはヨーグルトじゃない、マヨネーズだ」と指摘するウィリアム。スパイクは「ああそうか」と納得した様子でマヨネーズを食べ続けます。だーかーらー、油っぽいししょっぱいってば! スパイクはたぶん、自分でも気づいていない隠れマヨラーなのでありましょう。

土方およびスパイク級のマヨラーではない私たちには、5種のマヨネーズを丼で試食、というのはあまりにも危険なので(というか無理)、ひと口ご飯にそれぞれのマヨネーズをのせたもの用意しました。どれがどのマヨネーズかはもちろん審査員には伏せてあります。酸味や塩気の強いもの、マイルドなもの、パンチのきいたもの。これは選ぶのがなかなか難しい。審査員一同、眉間にしわを寄せて真剣に投票用紙に記入しております。そして……

厳正なる審査の結果、「マヨ丼にあうマヨネーズ」が決定いたしました。グランプリに選ばれたのは〈ドコドコドコドコ♪〉、エントリーナンバー3、フランスのルシュー・マヨネーズ!〈ワーワーワー パチパチパチ〉 以下、評価の高かった順にピュアセレクト、手作りマヨネーズ、キューピーマヨネーズ、リアルマヨネーズと続きました。

ここで面白いことを発見。審査員は男性1名、女性3名という構成だったのですが、女性3名の評価は最終結果とほぼ同じ。男性審査員は真逆、というか最下位だったリアルマヨネーズを1位に、グランプリのルシューを5位に選んでいたのであります。私の感想では、5種類のなかで最もマイルドなのがルシューで、塩気が強くチーズのようなパンチがきいているのがリアルマヨネーズでした。男性女性はあまり関係ないのかもしれませんが、マイルド派かパンチ派かで評価が正反対に分かれたようです。要するに好み次第ってことですね。土方、アンタはどっち派なの?

あら意外?ご飯と野菜であうマヨネーズが違う!

審査の合間の箸休めならぬマヨ休めにスティック野菜を用意しておいたところ、野菜にはパンチ派のキューピーやリアルマヨネーズのほうがあう、ということで審査員の意見が一致しました。用途によっていろいろなマヨネーズを使い分けてみると面白そうです。また、業務用のマヨネーズはアレンジしやすいように酸味も塩分も抑えられているので、ひと手間加えて自分の好みにあわせるのもいいかもしれません。

土方スペシャルに使ったマヨネーズは、その後マヨ丼風ポテトサラダ(やわらかーく作ったマッシュポテトにマヨを投入、ご飯にとぐろ状にのせました)に、そしてマヨのくっついたご飯は野菜を加えてポテサラならぬライスサラダにしていただきました。

銀時のチョコパフェも作ってみます

映画では土方のマヨ愛の陰に隠れてしまった感もありますが、銀時の甘いもの愛も相当なものです。新八と初めて出会うファミレスで食べているのは(そして台なしにされて怒るのは)チョコレートパフェ。

万事屋に大事にしまってあるのはいちご牛乳。原作には、土方のマヨ丼「土方スペシャル」と銀時の「宇治金時丼」(甘いあずきをのせたご飯……)対決も描かれています。

映画と同じキャストで作られたdTVのオリジナルドラマ「銀魂-ミツバ篇-」でも、銀時はやっぱり甘いもの命。チョコレートパフェにつられて真選組の沖田総悟(吉沢亮)の姉・ミツバ(北乃きい)と会うのですが、ミツバはとんでもない激辛好き。

「ぜひ食べてみて」と、せっかくのパフェにドクロマークのついたホットソースひとビンかけられ、火を噴くはめに……。ちなみに『ミツバ篇』は、激辛好きミツバとマヨラー土方の切ない恋物語でもあります。「ぜひ食べてみて」と、せっかくのパフェにドクロマークのついたホットソースひとビンかけられ、火を噴くはめに……。ちなみに『ミツバ篇』は、激辛好きミツバとマヨラー土方の切ない恋物語でもあります。

土方だけでなく主役の銀時にも敬意を表して、マヨ丼のデザートにチョコレートパフェを作ってみました。パフェ用グラスにチョコレートソースを入れ、チョコレートアイスクリームとコーンフレークを交互に重ね、ホイップクリームとバナナ、チョコレートシロップ、最後にカラフルなチョコレートスプレーをパラパラと飾れば出来上がり。うわああ、これもカロリー高そう。マヨ丼後のパフェ……。うっぷ。ま、おいしかったですが。

さて、マヨ丼にあうマヨネーズを探すという、世にも役に立たないこの企画。やってみるとちょっと面白いけれど、みなさまにお勧めはいたしません。ルシューがいちばんあうとわかっても、わたくし、もう一度マヨ丼を食べようとは思わない。ちなみにコンテストの翌日、口のまわりにブツブツができました。

【マヨ丼とチョコパフェの材料】
《マヨネーズ丼》
マヨネーズ、ご飯
《チョコレートパフェ》
チョコレートアイスクリーム、コーンフレーク、生クリーム(ホイップ)、チョコレートソース、バナナ、チョコレートスプレー、お好みでホットソース
《映画っぽい雰囲気を盛り上げる小道具》
木刀、バイク、ヘルメット、ブーツ、いちご牛乳、ラーメン、カブトムシ、『ドラゴンボール』のマンガ、レトロで近未来な町