日豪合作映画『STAR SAND-星砂物語-』(8月4日公開)に出演する、俳優の満島真之介。バラエティ番組や舞台挨拶での満島は、全力のサービス精神を発揮することで知られている。その姿は親近感を生み出し、俳優・満島真之介を形作る要素の一つとして好意的に受け入れられている。そんな満島の思いとは。

言わなければ伝わらない

公の場に立つとき念頭にあるのは、観客ファースト。「舞台挨拶の場合は目の前にお客さんがいる。その方たちはチケットを買った瞬間から、どんな洋服を着て行こうか、誰と行こうかと楽しみにしてくれているはず。そんな方々に向けて楽しんでもらいたいと思うのは当たり前のこと」という。ときに「やり過ぎたかなぁと舞台袖で反省することもある」と笑うも「予定調和になると、そこにある喜びが薄れてしまう。だからこそ、全力でその場を楽しみたい。やっぱり言わなければ何も伝わらない。その時間が人生の喜びになったり、幸せな気持ちを共有できる瞬間になってくれるならば最高に嬉しい」。

撮影現場でもその気持ちは変わらない。役者はすべての御膳立てが揃った中で参加させてもらっている、という気持ちがあるからだ。「映画を作りたいという人がいて、そこに監督やスタッフが集まる。役者が入ってくるのは最後なんです。そんな最後に来た人間が『あ、どうも…』のテンションでは失礼。スタッフとともに作品に全力でパワーを注ぐ事こそが僕の役目」と士気上げ要員を自認。

撮影現場は人との出会いの場

俳優デビュー7年目。駆け出し当時は緊張ゆえに考え過ぎてしまい自分の殻に閉じこもることもあった。「実は人一倍敏感。考えすぎると怖くなって体が思うように動かなくなる」と告白するが、弱気になる時は19歳の頃に挑戦した自転車日本一周の旅を思い出す。「今考えるとかなり無謀ですが、何も考えず“いけばわかるさ”のアントニオ猪木イズムでした。必要だったのは少しの勇気と心を開くこと。旅を通して知ったのは、困った時に声をかければ人は必ず助けてくれるということ。そのためにはこちらもオープンでいなければ」。

撮影現場は仕事場であると同時に、人との出会いの場でもあると捉えている。「作品ごとに出会う方も違うので、いろいろな人たちと思いを共有することで新しい感覚やパワーをもらえる。悩んだり考え過ぎたりしていると吸収ができなくなるので、常に心を開く。そうなるために日々準備をする事が大切」。すると、思ってもいなかった縁をも引き寄せる。日豪合作映画『STAR SAND-星砂物語-』がそれだ。

縁が引き寄せた感慨深い作品

故・大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』(1983年)で助監督を務めたロジャー・パルバースが自著を映画化。1946年の沖縄と現代を舞台に、日米の脱走兵と少女の交流を描く。満島は脱走兵の隆康を演じている。ロケ地に選ばれた伊江島は、沖縄出身の満島にとってなじみの深い場所。「ロケ地の写真を見て驚いた。伊江島は部活の合宿で訪れたこともある、一番馴染みの深い離島。その写真を見た瞬間に監督とはすぐに意気投合。自分のルーツにも関わる場所であり、先祖から受け継いできた血も含めて、体の奥底から騒ぐものがあった。撮影には“お邪魔します”という厳粛な気持ちを持って臨みました」。

俳優としても人としても忘れられない経験に。「戦争を題材にした作品で自分とゆかりの深い場所を訪れたことに縁を感じました。時代や時間を超越して、映画は人と人との人生を繋げる大きな力がある。この作品はこれからの自分の人生にとって大切な事を教えてくれる感慨深い1本になりました」と運命的出合いに感謝している。

(文・石井隼人)