モデル業を経て、2003年に俳優デビューを果たすと、瞬く間に人気スターになったカン・ドンウォン。いまだに日本では美形スターとして語られることの多い彼ですが、本国では作品ごとに違う顔を見せる演技派俳優として確固たる地位を確立しています。役者として成長し続ける彼が、最新主演映画『隠された時間』(8月19日公開)で精神が13歳のまま大人の容姿になってしまった少年役に挑んでいます。

ブランクもなんのその!兵役後、凄みを増した演技

外見を変えたり、体重を増減させたりと、もともと役のためならどこまでもストイックで苦労を厭わない俳優として知られていたカン・ドンウォン。でも、順調にキャリアを重ねていた2010年に兵役に就き、しばらくスクリーンから遠ざかることになります。復帰作となったのは、2014年に韓国で公開された映画『群盗』でのこと(日本での公開は2015年)。並みの役者ならばこのブランクはかなりの痛手。ただ、カン・ドンウォンに関して言えば、むしろいい充電期間だったのか、兵役後の方が凄みが増した演技で観客に大きなインパクトを与えています。

主演俳優として作品をビッグヒットへ導く!

そのインパクトは、出演作の実績を見れば明らか。除隊後、復帰作となった映画『群盗』では4年のブランクを微塵も感じさせず、非情で冷酷な武官役を怪演。華麗な剣使いも披露してスクリーンの世界へと舞い戻ってきました。以降、『プリースト 悪魔を葬る者』(2015年)は観客動員500万人、日本でも話題を集めた『華麗なるリベンジ』(2016年)は970万人を記録。主演俳優として確かな存在感を示すとともに、出演作品を軒並み爆発的ヒットに導いています。

13歳の心をもった大人という難役にチャレンジ

そして、8月19日に公開される映画『隠された時間』では、容姿だけ大人になった13歳の少年役に取り組んでいます。そう言われてもピンとこないと思うので、少しだけストーリーをご紹介。主人公は小学校4年生のときに、母を交通事故で失ったスリン。2年後、離島に引っ越してきた彼女は、同じような境遇で児童養護施設で暮らすソンミンと出会い、深い絆で結ばれていきます。しかし、そのソンミンを含む3人のクラスメイトが忽然と姿を消す失踪事件が発生。しばらくして、スリンの前に大人の姿になったソンミンが現れます。このソンミンが、ある不思議な現象で異次元へ迷い込み、外見だけ大人に成長したものの心は少年のままで再び元の世界に戻ったという物語。これだけですでに難役と言っていいでしょう。

しぐさや表情で、少年らしさを見事に表現

少年の心を持った大人という、役者としては技量を試される役に挑んだカン・ドンウォンですが、そこはさすが演技派。ものの見事に演じ切っています。大人の容姿でも唯一自分の存在に気づいてくれたスリンに対して見せる、ちょっと涙目になった瞳や不安げな表情、頼るように寄り添う姿はまさに少年そのもの。その、少年だけがもつイノセントな佇まいはきっと深く印象に残ることでしょう。

今秋には韓国で観客動員700万人を突破した『MASTER/マスター』の日本公開も決定。イ・ビョンホンが韓国史上最大規模のネットワークビジネス詐欺の首謀者役を演じることも話題のこの作品では、カン・ドンウォンは犯人を追う知能犯罪捜査班の敏腕刑事を演じます。まさにキャリアのピークを迎えていると言っていい快進撃が続く彼からは、しばらく目が離せません。

(文/水上賢治@アドバンスワークス)