皆さんの勤めている会社ではどの程度、感染症対策を実施していますか?
近年、世界的な流行が危惧される感染症や季節的な感染症が増加しています。
職場で感染者が発生した場合、対応を誤ってしまうと感染者の増加によって企業活動を大きく阻害することにもつながりかねません。
大企業だけでなく、中小企業もグローバル化している現在において、感染症対策の強化はすべての職場において早急に取り組むべき課題なのです。

季節的な感染症対策

職場の感染症対策としてまずは季節的に流行しているインフルエンザや食中毒を対象に実施することが大切です。
流行時期には、こうした感染症により職場を欠勤する従業員も多くなるため、流行前に職場で予防教育を実施することが重要であり、また発病した従業員には一定期間の就労禁止を命ずることも検討すべきです。
インフルエンザを予防するためにはワクチン接種が有効であり、従業員に接種を呼びかけることも必要です。
最近は企業側がワクチン接種を推奨している企業が増加しており、福利厚生費として企業が全額負担しているケースも多く見られます。

感染症対策における法律的視点

企業は、従業員と労働契約を締結しています。
労働契約では使用者である企業が指揮命令権を有し、労働者である従業員がそれに従って労働する義務と、従業員が企業に賃金を請求する権利を有し、企業が従業員にそれを支払う義務が中心として定められています。
それに加えて、企業は従業員に対して安全配慮義務も負っています 。

労働契約法(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

そのため企業は、安全配慮義務から労務提供の過程において感染症に罹患するおそれのある業務に従事している従業員に対し、感染症対策を講じなければならないのです。

具体的な取り組み事例

旭化成株式会社

接種するワクチンの判断と新型インフルエンザ対策
→ 海外赴任者の健康管理は、赴任の2カ月前までに実施する健康診断から、国や地域ごとの必要に応じたワクチン接種の指示、健康管理の赴任者向け説明会を国内で実施。
赴任中は定期健康診断(海外ドック)と健康調査を年1回、産業医による現地面談を2年に1回(現在アジア圏のみ)、このほかテレビ会議システムや電話・メールによる健康相談および保健指導、長時間労働者の健康チェック、メールマガジンによる健康情報の提供などを実施。帰任後は1カ月以内に健康診断を行っている。

ロート製薬株式会社

全従業員約1,700名を対象に風疹ワクチンの予防接種を無料化
→ロート製薬株式会社は風疹急増に関する情報を受けて、風疹に対する正しい健康意識の普及啓発を図るとともに、従業員ならびに将来生まれてくる赤ちゃんの健康を守ることを目的として、2018年10月より全従業員を対象に風疹ワクチンの予防接種を無料化。
女性社員が約6割を占め、出産後もほぼ100%が仕事を続けていることから、健康経営の大きなテーマの1つとして「女性の健康」に着目した。
風疹は、妊娠初期から20週ごろまでの妊婦がかかると、胎児が風疹ウィルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等の障害をもった赤ちゃんが生まれる可能性がある。
社員とその家族、さらに生まれてくる赤ちゃんの健康を守るため、妊娠を望む女性社員はもちろんのこと、全社員の抗体の保有率を高める必要があると考えた。

このように感染症が職場で急増しないよう危機管理対策を、企業で構築する必要性が生じています。
従業員が業務中に周囲へ感染を蔓延させれば、企業の社会的な責任が強く追及されます。
それを未然に防ぐためにも、平素からの感染症対策に取り組んでいきましょう。