世界から見て「働き過ぎ」と言われる日本人ですが、その中でもより過重労働を強いられている職場が、日本にはまだまだ多くあります。
そんな長時間労働の抑制を図るために、時間外労働の上限を設けるなど、労働基準法も徐々に改正されてきている現状です。

2019年11月、厚生労働省が実施した「過重労働解消キャンペーン」では、労働者に過重労働を強いているブラック企業の多さが明らかになりました。
先日、2020年5月1日に当キャンペーンの重点監督の実施結果が改めて公表されましたので、今回はこちらを紐解いて見ていきたいと思います。

重点監督結果のポイント

今回、監督指導を実施した事業場は、8,904事業場とのことでした。
その主な違反内容としては、下記の通りです。

(1)違法な時間労働があったもの…3,602事業場(40.5%)
(2)賃金不払残業があったもの…654事業場(7.3%)
(3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの…1,832事業場(20.6%)


最も多い割合を占めている違反は、「違法な時間労働」ということがわかります。

「違法な時間労働」とはつまり、労働基準法で定められている法定労働時間を超えて働かせることを指します。
現在の法律では、原則として1日8時間、1週間に40時間が限度で、36協定を締結している場合は時間外労働が可能です。
そのため、単純に労働時間が長いことも考えられますが、中には36協定を締結せずに時間外労働をさせている場合もあることが考えられるでしょう。

長時間労働削減のための取組事例

さて、過重労働を減らすためには、具体的にどのような取り組みをするのが効果的でしょうか。
同キャンペーン期間中に訪問された企業の、「長時間労働削減」のための取組を1社ご紹介します。

【事例】
業種:食品製造業 労働者数:約130名


時間外労働削減
・1日や1月の時間外労働の累計を、各ラインで確認することができるよう勤怠管理システムを変更
・上長が時間外労働時間数をリアルタイムで把握し、業務の偏りがないよう業務分担を指示

年次有給休暇の取得促進
・閑散期を中心に、各部門長が年次有給休暇の積極的取得について声かけを実施
・配偶者の出産時の特別休暇に加え、法定付与日数を上回る年次有給休暇(入社日に15日、次年度20日)を付与

働きやすい環境づくり
・育児、介護休業の取得促進のため、該当者に制度の詳細を説明し、気兼ねなく取得できる環境を整えた
・労働者(派遣労働者を含む)の疲労回復のため、企業内でマッサージを無料実施

取組の結果
●2年間で1ヶ月の平均の時間外労働が4.9%減少。月80時間を上回る労働者も11人から4人に減少
●年次有給休暇取得状況は前年度の9.5日から11.5日に増加し、配偶者出産時の特別休暇の取得率は100%達成
●平成30年度は、新卒採用者の離職0人を達成

この事例を見ると、労働時間をしっかり見える化することで、その減少につなげているようですね。
ひとつひとつの取組はそれほど大きなことでなくても、働き方に対する意識改革、働きやすい環境づくりは重要だと考えられます。

他の企業の取組事例も気になる方は下記に掲載されていますので、ご参考にしてください。
<参考>
厚生労働省「令和元年度 11 月『過重労働解消キャンペーン』 の重点監督の実施結果を公表」(https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000626627.pdf)

産業保健機能の強化も必要

同発表において、厚生労働省は産業医・産業保健機能の強化についても勧奨しています。
長時間労働などによる健康被害を懸念し、労働者の心身をいつでも整えられる体制があることが、健全に働く環境として最低限求められるべきものです。

産業保健のことで不安な点がある方は、産業医のご紹介からストレスチェック、外部相談窓口など、産業保健業界のプロであるドクタートラストにぜひご相談ください。

従業員の方々に向けた健康に関するセミナーも、現在はZoomを使用して、オンラインで配信しております。
テレワークなどでいつも以上に従業員の管理がしづらくなってしまっている状況だと良く耳にしますが、この機会に産業保健の強化も検討してみてはいかがでしょうか。