2020年9月29日、厚生労働省内に設置された労働政策審議会雇用環境・均等分科会で、男性の育児休業取得推進向上に向けた検討が始まりました。
今回は男性育休の現状、労働政策審議会雇用環境・均等分科会での検討内容などについてわかりやすく解説します。

男性育休の現状と検討内容

厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」によると、2019年度に育児休業を取得した男性は7.48%でした。
2018年度が5.14%、2019年が6.16%でしたので、上昇傾向にはあるものの、依然として低水準だとがわかります。
さらに、育児休業を取得した男性の「育休期間」を調べてみると全体の8割が1ヶ月未満でした(2018年度)。
一方、女性の「育休期間」は全体の9割近くがは6ヶ月以上で、大きな開きがあります。
国では「くるみん認定・プラチナくるみん認定」(次世代育成支援対策推進法にもとづいた「子育てサポート企業」)といった認定制度、「パパ・ママ育休プラス」や「パパ休暇」といった父親の育児休業取得のための制度などを整えつつはありますが、育児休業取得には、そこまで強い後押しとなっていないように見られます。
男性が育児休業を利用しなかった理由を調べると「会社で制度が整備されていなかったから」「取得しづらい雰囲気だったから」といった声が大きく仮に制度があっても個々の職場の環境整備、風土醸成が重要なようです。
労働政策審議会雇用環境・均等分科会では2020年度の「男性の育児休業取得率」の目標を13%とし、以下を検討、法改正へとつなげていく見通しです。

1. 子の出生直後の休業の取得を促進する枠組み
・ 対象期間、取得可能日数
・ 権利義務の構成
・ 要件・手続

2. 妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別周知、環境整備
・ 職場環境の整備と個別労働者への周知のあり方

3. 育児休業の分割取得
・ 分割を認める場合、その要件及び回数

4. 育児休業取得率の公表の促進等
・ 公表の促進のあり方等

男性育休義務化への提言

9月29日の労働政策審議会雇用環境・均等分科会では、「男性育休義務化」への反対意見もあがっています。
これに対して、NPO法人フローレンス、株式会社ワーク・ライフバランス、NPO法人ファザーリング・ジャパンなど民間団体で結成された「男性育休義務化プロジェクトチーム」は10月2日付で、男性の育休義務化に賛成する声明文を出し、具体的には以下7つを提言しています。

1. 企業の周知行動の報告義務化(男性育休制度の従業員への周知を企業の義務とする)
2. 取得率に応じたペナルティやインセンティブ(企業負担の社会保険料のうち、子育て拠出金の負担率軽減)
3. 有価証券報告書に「男性育休所得率」を記載
4. 育休申請を柔軟にする(現状は1ヶ月前申請が必要だが、これを柔軟なものとする)
5. 男性の産休新設(産後8週間の男性育休を「男の産休」とし、手取り額が減らないようにする)
6. 半育休制度の柔軟な運用
7. 「父親学級」支援(従業員の子育てスキル補填のための「企業主導型父親学級」を整備し、助成金制度の対象、また「えるぼし」「くるみん」認定への加点ポイントとする)

男性育休取得率向上のためには人手不足解消が必要か

2020年9月25日に日本商工会議所と東京商工会議所が公表した「多様な人材の活躍に関する調査」結果概要」によると、「男性社員の育児休業取得の義務化」に対して、実に7割強の企業が「反対」または「どちらかというと反対」と答えています。
特に、運輸業、建設業、介護・看護業といった人出不足の傾向がある業種では、反対と回答した企業の割合が高くなっています。
こうした状況を鑑みると、男性の育休を取得する上では、制度の整備などといった施策も必要ですが、何よりも人出不足解消、「一人が欠けても大丈夫と言えるような職場」づくりが求められるのではないでしょうか。