2021年1月8日、厚生労働省は、65歳までの雇用を確保するための制度「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、「令和2年度 高年齢者の雇用状況」を公表しました。
「高年齢者の雇用の安定等に関する法律」により、高年齢者が年齢に関係なく働き続けることのできる生涯現役社会の実現のため、企業は下記3つのいずれかの処置を講じる義務があります。

① 定年制の廃止
② 定年の引上げ
③ 継続雇用制度の導入
※ 継続雇用制度とは、本人の希望があれば定年後も引き続き雇用を続ける「再雇用制度」などのことをいい、2013年以降は希望者全員を対象とすることが義務づけられています。

また、雇用確保措置を実施していない企業に対しては、各都道府県労働局やハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導が実施されています。

高年齢労働者の状況

31人以上を常用労働者として雇用している企業における60歳以上の労働者数はおよそ409万人で、全労働者のおよそ12%を占めています。
年齢別にみると、60歳〜64歳がおよそ224万人、65歳〜69歳がおよそ117万人、70歳以上がおよそ68万人です。
これらの高年齢者労働者数の数字は、雇用確保措置の義務化に伴い義務化する以前の2009年と比較すると、2倍近く増加しています。

企業規模別にみた雇用確保措置の実施状況

高年齢者の雇用確保措置実施済み企業では、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」により、雇用確保措置をするよりも、継続雇用制度の導入により措置を講じる企業が多いです。
企業規模別に雇用確保措置の内訳を見てみると、従業員数が31人〜300人のいわゆる中小企業では、定年の引上げおよび定年制の廃止の合計が全体のおよそ25%であるのに対し、従業員数が301名以上の企業では、定年の引上げおよび定年制の廃止の合計は全体のおよそ10%と、企業規模で取り組み内容に差が出るかたちとなりました。
この背景には、中小企業による慢性的な人手不足の状態であることが考えられます。
一方、大企業では、本人の希望に基づき定年の延長が実施されている企業が多くありますが、中小企業では定年の延長により労働者の数を確保しなければいけないのかもしれません。

高年齢者と働くために

高年齢者の雇用が増える中、企業としては就業規則で高年齢者の雇用についての取り決めを行うだけでなく、実際に高年齢者が働きやすい環境づくりがさらに重要になってくると思います。
オフィスのバリアフリー化や、労働時間や業務内容を高年齢者向けに工夫をするなど、企業のフレキシブルな対応が求められるのかもしれません。