新型コロナウイルス感染症がはじめて確認されてから、3年ほど経ちました。
人々の生活やコミュニケーションの形は変化し、世界全体が混乱に包まれた状態ではありましたが、国も国民一人ひとりも対策を練り続けながら、徐々に街にも活気が戻りつつあるように感じ始めています。
そうした中、日本労働組合総連合会は「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022」を実施、2022年12月19日に結果を発表しました。
コロナ禍によって働く人のストレス状況はどのように変化したのでしょうか。

コロナ禍で悩まされるコミュニケーションの形

はじめに、コロナ禍の前後でストレスに変化があった人はどれほどいるのでしょうか。
「コロナ禍前と比べ自分の仕事や職業生活に関してのストレスに変化があったか?」の問いについて、増えた36.6%、減った8.3%、変わらないが55.1%といった結果となり、「変化がない」と感じる人に続いて、「増えた」と感じる人が多い結果でした。
それでは、コロナ禍前後でどのような変化があり働く人たちはストレスを感じているのでしょうか。
自分の仕事や職業生活に関して、ストレスになっていると感じる要素は「職場の人間関係」が最も多かったです。
コロナの影響により、リモートワークやオンライン会議、メールやチャットで連絡する等、直接顔を見合わせて会話をすることが減少し、上司や同僚と一緒に食事をすることも制限され、人間関係の希薄化が進行してしまいました。
実際にストレスを感じている人は職場内でのコミュニケーション不足を実感している人が多い結果となり、コミュニケーション不足は人間関係の構築が難しくなるほか、個々人の仕事の進行にも影響を及ぼす原因となりそうです。

テレワーク実施がもたらす課題

コロナ禍前後で大きく変化した働き方としてテレワークの導入がありました。
「テレワークの実施状況に満足しているか?」という問いでは、勤務日のすべてがテレワークの回答者よりも、勤務日の7〜8割程度テレワークを行っている回答者の満足度が一番高かったです。
テレワークは、場所に制限がない、通勤時間がとられない、集中して作業を行える等良い側面もありますが、気軽に話すことができない、また孤独感を感じる等人間関係・コミュニケーションの部分課題となる側面もあります。
勤務日のすべてをテレワークにしている会社については、毎日の業務の中で、上司部下の1on1ミーティングをセッティングする事や社員同士が気軽にコミュニケーションをとる場をつくるなど、人間関係の部分で工夫をすることで満足度をあげられるかもしれません。

ストレスを感じる働く人々が会社に求めていること

「働く上でのストレスをなくすために希望する施策」の問いで、1位が「適正な人員配置・組織体制などの見直し」、2位「仕事の進め方の改善、業務配分の見直し」となりました。
残業時間別でみても残業時間が多い回答者でも「残業時間の削減、労働時間の適切な管理」の回答よりも先の2つの回答が”高い”若しくは”同じ”という結果でした。
労働者は残業時間が多い事にストレスを感じているというよりも、残業時間が多いのは現状の組織体制や業務配分等に問題があると感じているからではないでしょうか。
会社自体突然のコロナに対応するために、システム導入・体制変更するのに精一杯で、人事面・組織内部が見えていなかったこともあると思います。
今、次にやるべきことは働く人々に目を向け組織内部の改善を行うことで、働く人のストレスを軽減できるのではないでしょうか。

<参考> 日本労働組合総連合会「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022(PDF)」