2019年9月17日、一般社団法人日本経済団体連合会は「2019年労働時間等実態調査集計結果」を公表しました。
本調査は2019年4月から5月にかけて実施されたもので、経団連会員企業を中心に276社(対象労働者数:123万3246万人)から回答を得たものです。
以下では、結果概要をご紹介します。

年間総労働時間

一般労働者は減少傾向

一般労働者総労働時間の推移は以下の通りです。

2016年:2,008時間
2017年:1,999時間
2018年:1,998時間

上記のようにわずかではありますが、3年連続で減少傾向にあります。
ただ、この結果を製造業と非製造業にわけると、以下のように大きな違いが見て取れます。

<製造業>
2016年:2,009時間
2017年:2,004時間
2018年:1,998時間

<非製造業>
2016年:2,007時間
2017年:1,991時間
2018年:1,999時間

2016年、2018年は製造業、非製造業の間で大きな差はありませんが、2017年は年間にして13時間の相違がありました。

管理監督者は微増

同様に管理監督者の総労働時間を見てみます。

2016年:2,063時間
2017年:2,045時間
2018年:2,057時間

一般労働者とは異なり、2018年は2017年より増加しています。
また、管理監督者のほうが一般労働者よりも労働時間が長いという特徴がわかります。

時間外労働時間と年次有給休暇

続いて、時間外労働時間と年次有給休暇を見ていきます。

時間外労働時間(年間)

時間外労働時間の年別の結果は以下のとおりです。
2016年:237時間
2017年:226時間
2018年:223時間

総労働時間の減少に伴い、時間外労働時間もわずかですが減少傾向にあることがわかります。

年次有給休暇

では、労働と対の関係のある年次有給休暇の取得率はどうでしょうか。
まず、全体を年別に見てみます。

2016年:62.9%
2017年:67.5%
2018年:70.4%

上記のとおり、大きく改善されていることが見て取れます。
また、この取得率については従業員数によって、大きな違いがあるので、以下にご紹介します。

<従業員数:300人未満>
2016年:46.9%
2017年:45.0%
2018年:47.9%

<従業員数:300人以上1,000人未満>
2016年:47.7%
2017年:49.8%
2018年:53.4%

<従業員数:1,000人以上5,000人未満>
2016年:55.2%
2017年:57.4%
2018年:59.6%

<従業員数:5,000人以上>
2016年:66.8%
2017年:72.0%
2018年:75.1%

企業規模にかかわらず、有給休暇の取得率は年々上昇しています。
一方で、企業規模によって取得率が大きく違うことがわかります。
昨今の「働き方改革」も、中小企業での浸透、取り組みが課題として取り沙汰されますが、実際に有給休暇の取得率という結果を出すと、そのことが顕著に現れてきます。

長時間労働の是正と生産性向上に向けた取り組み、副業・兼業への姿勢

本調査では、長時間労働の是正、生産性向上に向けた取り組み内容についても明らかにしています。
全体の65.3%にあたる177社では、取り組みが具体的な成果に結びついていますが、一方では、あまり成果が感じられないとしている企業が16社(5.6%)あるという事実から目を背けてはいけません。

成果に結びついている取り組み

以下では、長時間労働の是正や生産性向上に対して、具体的な成果を上げたとする取り組みを紹介します。

①管理監督者、人事部による勤怠状況のチェック
②トップメッセージの発信、リーダーシップ
③ノー残業デーの実施など労働時間削減への取り組み

この結果からわかるのは、個々人の取り組み、意識改革よりも、上層部の考え方や、社を挙げてのルール導入が効果を上げているということです。
また、本調査ではこれら以外に「副業・兼業に関する方針」についても紹介しています。

副業・兼業に関する方針

認めている:46社(16.9%)
認める方向で検討中:8社(2.9%)
懸念事項が解消すれば認める方向で検討:79社(29.0%)
認める予定はない:139社(51.1%)

意外にも、認める予定はない、あるいは現在認めていない企業が圧倒的多数を占めました。
皆さんの感覚と一致していますでしょうか。

認める、認める方向で検討している企業からは、副業・兼業によるメリットとして「自社では提供できない仕事経験による能力向上やアイデア創出」「社員の主体的なキャリア形成意識の情勢」「優秀人材の確保・定着」など、外部からの「経験」「人材」への期待が挙げられています。
その一方で、認めない理由としては、「労務管理」「労災配慮義務」「健康確保」など、主に「管理」面での課題が挙げられています。
特に割増賃金や労災などの面については、2019年9月現在、厚生労働省内の委員会などでも議論がもたれているところであり、なんらかの方針が示される見込みです。
そのような懸念を解消して、より柔軟な働き方が後押しされることを期待します。