働きながら子育てをするお母さん、お父さんが抱えるお悩みで特に困難を極めるのが「食事」、とりわけ「子どもの好き嫌い」です。
「栄養バランスが偏らないように野菜を食べてもらいたいけれど、好き嫌いがあって……!」
こんなお悩みを実際に、子育て中のお母さん、お父さんからお伺いすることが多いです。
好き嫌いをして子どもが中々ごはんを食べてくれず、イライラしてしまったり、せっかく作ったのにと悲しい気持ちになってしまったこと、ありませんか?
そこで今回は、なぜ子どもが好き嫌いをするのか、そしておいしくごはんを食べてもらうためのコツを解説します。

子どもは味覚が敏感!「酸味」「苦味」を大人より強く感じる

味覚には「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、「うま味」の5つがあります。
このうち甘味、塩味、うま味の3つは、生きていくうえで必要なエネルギー源である炭水化物やたんぱく質、ミネラルなどの栄養素に含まれていることが多く、子どもが本能的に好む味です。
しかし酸味は、腐敗を知らせる、苦味は毒物の存在を知らせる役割の味覚とされており、苦味が強い野菜などは本能的に拒否しやすいのです。
そして子どもは味覚が敏感であるため、大人よりもピーマンを苦く感じたり、果物を酸っぱく感じたりします。
加えて、酸味や苦味は経験によって好むようになる味とされています。
子どもは初めての経験をたくさん積み重ねて成長をしていきますが、食事も同じです。
決して嫌いだから食べないのではなく、「まだその味に慣れていない」ということも理解しておきましょう。
嫌がる食品は無理やり食べさせるのではなく、日をあけて繰り返しチャレンジするよう心掛けてください。
野菜の苦味を抑えるコツとして、材料を小さく刻んだうえで下処理「ゆでこぼし」を行うのもおすすめです。

<ゆでこぼしの方法>
沸騰したお湯に塩を少々いれ、苦手な野菜をやわらかくなるまでゆでる
ザルに材料をあげ、ゆで汁をしっかり捨てる

野菜に含まれる「ビタミンC」や「ビタミンB1」は、水に溶けだしやすかったり、加熱すると減りやすいので、食べられるようになってきたらゆでこぼしをせずに調理してあげてみましょう。

不安げな顔で子どもに苦手な食べ物を食べさせていませんか?

子どもが好き嫌いをする原因のひとつとして、初めてだから警戒する「新奇性恐怖」が影響しているかもしれません。
初めて食べさせるものは、お母さんもお父さんも「食べられるかな?」と心配になるのではないでしょうか。
口に食べ物をいれた子どもの顔が曇ってしまうと、こちらも不安な表情になりがちです。
しかし、大人が不安な顔をしてしまうと、子どもの食品に対する恐怖心はより一層強まります。
私たち大人も、初めて食べる料理では「大丈夫かな…」「どんな味だろう…」と警戒しますし、周りが曇った表情で食べていたら余計不安になりますよね。
子どもに初めての食べ物をあげるとき、周りの大人が「おいしいね」と言いながら笑顔で先に食べてみせたり、口に食べ物をいれた子どもの顔が曇っていても不安な顔にならず、楽しい雰囲気でいてあげてください。

楽しい、かわいい見た目で興味をもってもらう

見た目で食欲をそそるのもひとつの手です。
いつも食べない野菜でも、見た目の変化で興味をもち食べたくなることもあります。
子どもが好きな型抜きを選んで、一緒に星形やハート形などかわいいかたちにしてみましょう。
ステンレス製の型抜きは、さびにくく使いやすいのですが、切り口でけがをしないように気をつけてください。
また、にんじんやじゃがいもなど、生のままだと固い野菜は5ミリくらいの輪切りにしてから電子レンジ(600W)で1分ほど加熱し冷ますことで、子どもでも型抜きしやすい柔らかさになります。
型抜きした野菜は、子どもだけでなく大人の料理にものせて一緒に楽しく食べてあげてくださいね。

食事は生きていくうえで欠かせません。
1日3回の食事、年間に換算して1,095回も私たちは食事をしています。
そして、さまざまな食べ物を口にしています。
大人と子どもでは生きた年数×1,095回も食経験が違います。
子どもが好き嫌いをして食べないことがあっても、まだ慣れていないことを理解し、繰り返しチャレンジすることで食経験を豊富にし、さまざまな食べ物を美味しく食べれるよう成長を見守ってあげましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要」
・ 農畜産業振興機構「子どもの野菜嫌いと食育(PDF)」(「野菜情報」2019年11月号)