新型コロナウイルスが本格的に猛威を振るい、東京都では連日多数の新規感染者が出ていると報道されています。
コロナは他人事だと思っていた筆者の周囲でもついに感染者が発生し、どんどんと身近に迫ってきていると実感してきました。

そのような中、コロナを理由とした差別・ハラスメント、また解雇などが起きやすいという状況になっています。
今回はこのような「コロナ・ハラスメント」についてお話しします。

コロナ・ハラスメントに対する国の動向

厚生労働省は、「新型コロナウイルスに関連したいじめ・嫌がらせ等は、あってはならないものです」とし、「例えば、過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由として、人格を否定するような言動を行うこと、一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし職場で孤立させること等は、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合があります」としています。

また、新卒内定者がコロナに罹患した場合でも、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消は無効となります。事業主は、このことについて十分に留意し採用内定の取り消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずるようにする」とし、安易な内定取り消しを行わないように促しています。

もちろん退職勧奨や解雇も同様で、コロナ禍であっても以下のような手を尽くした上での最終手段となってるのは従前どおりです。

(1)人員整理を行う必要性
(2)できる限り解雇を回避するための措置が尽くされているか
(3)解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であるか
(4)労働組合との協議や労働者への説明が行われているか

<参考>
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」10 その他(職場での嫌がらせ、採用内定取消し、解雇・雇止めなど)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q10-1)

また、法務省はコロナ差別に苦しんでいる方に向けて、人権相談窓口を設けています。
★ 法務省「新型コロナウイルス感染症に関連して −差別や偏見をなくしましょう− 人権相談窓口(https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken02_00022.html#anchor04)★

ハラスメントは労災認定になる

上述の通り、「新型コロナウイルスに関連したいじめ・嫌がらせ等」はパワーハラスメント該当する可能性があります。
昨年5月29日には心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正が行われ、パワーハラスメントに関する事案を評価対象とする「具体的出来事」などを明確化されました。

要はパワハラが「労災認定」されやすくなったと言ってもいいでしょう。

ちなみに労災認定されると

・ 保険料が上がる。労災認定が多いと保険料率がアップする
・ 企業のイメージが下がる。取引停止や売上減少の発端になる場合も
・ 裁判などの煩雑な対応が発生する。労災認定書類の作成や労働基準監督署の調査立会も
・ 労働基準監督署の監査対象になる。労働基準監督官による抜き打ち調査への対応

となり、企業にとってプラスになることはありません。

中小企業も他人ごとではない

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の評価項目にもコロナ対策の取り組みが加わる方針となりました。
感染症流行を受けた組織体制や、感染症予防に対応したBCPの取り組み状況などが該当します。

健康経営優良法人は経済産業省が旗を振っている制度ですが、上述の厚生労働省や法務省の動向からもわかる通り、日本という国全体がコロナに対する対策やハラスメントの防止を企業に求めてきています。

パワハラ防止法が2020年6月1日に施行され、同日より大企業では職場のパワーハラスメント防止対策を講じることが義務化されました。
また、中小企業は2022年4月1日から義務化が適用されます。

既にデスクの間隔を空ける、テレワークを導入を行っている、などコロナの対策を取っている企業は多いと思います。
特に大企業では完備されていることが多いと思いますが、中小企業の方ではハラスメントの対策がまだ十分ではなかったりします。

コロナの対策と併せて、ハラスメントの対策、2022年4月1日から義務化を見据えて行ってみてはどうでしょうか。

<参考>
・ 厚生労働省「2020年(令和2年)6月1日から、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!(PDF資料)」