国土交通省では2020年度に「働きやすい職場認証制度」を創設しました。
本制度はトラック、バス、タクシー事業者(自動車運送事業)の運転者不足に対する、取り組みの一環として始まり、一段階(一つ星)の認証のみでしたが、2022年度からは、さらに高い水準への移行を目的として、新たに「二つ星」の認証が始まります。
今回は、「働きやすい職場認証制度」の概要や取得のメリットなどとともに、今後のスケジュールをわかりやすく解説します。

働きやすい職場認証制度とは?二つ星って?

「働きやすい職場認証制度」は正式名称を「運転者職場環境良好度認証制度」といい、国土交通省が創設、一般財団法人日本海事協会が実施しています。
本制度では、運送事業許可取得後3年以上経過しているトラック事業者、バス事業者、タクシー事業者が対象としています。
認証を受けることにより、労働条件・環境の「見える化」、および「改善」を目指しており、取得することで、日本海事協会のウェブサイトでの公表や認証マークの車両表示、ハローワークにおける求人票への記載など、さまざまなメリットが得られます。
2022年8月現在、トラック事業者2,320社、バス事業者218社、タクシー事業者740社の合計3,278社が取認証を取得しています。

一つ星はどう取得する?

まずは2020年度に先行して始まった「働きやすい職場認証制度 一つ星」の取得の概要を説明します。
「働きやすい職場認証制度」は、事業者単位で申請を行うことになり、運転者の在籍しない本社などもその対象となります。
ただし、複数の都道府県に事業所がある場合は、都道府県単位でも可能とされています。
また、認証に際しては、重大な法令違などがないか事前スクリーニングが行われたうえで、書面審査が行われます。
認証項目としては次の5分野25項目(タクシーは27項目)が設定されており、すべてを満たさなくてはなりません。

<認証項目となる5分野>
A 法令遵守など
B 労働時間・休日
C 心身の健康
D 安心・安定
E 多様な人材の確保

書面審査の結果が審議され、運営委員会で承認を得ることで、合否が確定します。
なお、申請に際しては、審査料55,000円(電子申請の場合は33,000円、電子申請による継続申請は16,500円)、登録料66,000円がかかるほか、複数の営業所を申請対象とする場合は、営業所の数だけ追加費用が求められます。
一つ星の認証を取得した事業者に対しては、原則2年間有効な登録証書が発行され、前述のメリットを受けられます。

二つ星はどう取得する?

次に、2022年度から始まる「働きやすい職場認証制度 二つ星」の概要を説明します。
二つ星の対象となるのは、すでに「働きやすい職場認証制度 一つ星」の認証を取得している事業者です。
認証項目には、一つ星のA〜Eの5分野に「F  自主性・先進性等」が加わります。
申請の手順や、かかる費用などは、一つ星と同様です。

今後のスケジュール

2022年度の申請スケジュールは以下の通りです。

一つ星を新規で申請

申請受付期間:2022年9月16日〜11月15日
審査結果通知書の発行:2023年2月下旬以降
登録証書の発行:2023年3月以降
有効期間:発行日から2025年3月31日まで

二つ星を新規で申請、一つ星を継続申請

申請受付期間:2022年12月16日〜2023年2月15日
審査結果通知書の発行:2023年5月下旬以降
登録証書の発行:2023年6月以降
有効期間:発行日から2025年3月31日まで

さいごに

冒頭に記載のとおり、「働きやすい職場認証制度」は、2020年度に一つ星、2022年度に二つ星が創設されましたが、2023年度には、さらに高位の水準として「三つ星」が導入されます。
厚生労働省「令和3年11月 労働経済動向調査」によると、トラック運転者の欠員率は3.5%と高く、景気回復に伴って深刻化が進んでいます。
また、総務省「2020年 労働力調査」によると、就業者の年齢構成比は、全産業が「29歳以下:16.6%、40〜54歳:34.7%」であるのに対して、道路貨物運送業は「29歳以下:10.3%、40〜54歳:44.3%」と高齢化が進んでいるほか、女性就業者の割合がたった2.3%に過ぎないなど、課題が多く散見されます。
今回ご紹介した「働きやすい職場認証制度」などがうまく活用され、自動車運送事業業界全体の改善が図られることを願ってやみません。

<参考>
一般財団法人日本海事協会「自動車運送事業者の『働きやすい職場認証制度』」
国土交通省「『働きやすい職場認証制度』二つ星を新たに導入します!〜バス、タクシー、トラック事業者のより高い水準への移行を促進〜」
厚生労働省「令和3年11月 労働経済動向調査」
総務省「2020年 労働力調査」