ダイバーシティ(多様性)の重要性がうたわれるようになった昨今。それでも性差を意識する場面はまだまだ多い。アエラで実施したアンケートでも、「女性の呪縛」を感じる女性が少なくないことがわかった。



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 性別が違うだけで、なぜこうも生き方が違うのだろう──。PRの観点から主にスタートアップを支援する「シプード」共同代表の舩木真由美さん(40)は、小学生の頃、漠然とそんなことを感じていた。両親は同い年で、ともに東京の大学を卒業。大学のレベルもほぼ同じだ。父は地元のテレビ局勤務。母はその系列のラジオ局で働いていた。どう見ても対等なはずだ。

「でも当時は、女性は寿退社が当たり前。母は専業主婦になったものの、パワーが有り余っていたのか、私が小学生の頃PTA副会長を務めていた。『お母さん、本当は働きたかったんだな』と感じていました」

 大学に入り、就職活動を始めると、性差を意識せざるを得ないことが増えてきた。友人たちは「女の子だから一般職にするか、総合職にチャレンジするか」で悩んでいる。なぜ女性だけ?と不思議だった。自身は番組制作会社に就職するも、体を壊して退職。

 20代半ばで結婚し、当時スタートアップだったPR会社に転職するが、数カ月後に妊娠。退職を余儀なくされた。

「産休や育休の制度を整えることは考えていない。創業メンバーの誰かが妊娠したら考えるけれど、それまでは無理、と上司に言われました。いまでも、その悔しさがバネになっています」

 こんな悔しい経験をしたり、漠然と「壁」を感じたりしてきた女性は多いだろう。昨年は、医学部入試を巡る女性差別が発覚。女性がセクハラや性被害を告発する#MeToo運動も大きなうねりとなった。これまで沈黙してきた女性たちが声を上げられるようになった証しではあるが、いまだに差別が深刻なことも事実だ。

 これらのさまざまな壁が女性にのしかかり、「女の子だから無理」「女の子だから前に出なくていい」などの“呪縛”を生んできた。アエラは、3月8日の国際女性デーを前に、アエラネットなどを通してこの「女性の呪縛」について緊急アンケートを行った。78人が回答した。

「いまだに女性には、社会で活躍するために差別やハンディがあると思うか」という質問には、72%が「大いにある」、26%が「少しある」と答えた。

「日本の職場ではまだ、女性は可愛らしく、男性をサポートすることを求める男性が多い。はっきり意見を言ったりするだけで、『生意気』『怖い』などと言われてしまう」(51歳女性)
「夫が家事や育児を半分程度担うと、とても素晴らしいことのように褒めたたえられる。妻は『半分もやってもらえていいね』と言われる」(34歳男性)

 どうすればこの呪縛から解放されるのか。

 前出の舩木さんは、妊娠を機に退職した後、約2年間専業主婦となった。女性だから、子どもがいるから、自分にはアルバイトしかない、と思い込んでいた。けれど、「PRの経験があるならうちに来ない?」と声がかかったことで意識が変わった。

「PRや番組制作の経験がある。自分の持つスキルやキャリアがレアであればあるほど、チャンスだと気づきました」(舩木さん)

 その後、大手IT企業に転職し広報を務め、第2子を出産。その後には、思いを形にするため新しい会社に移り、新規事業も立ち上げた。もう「女性だから」という思い込みにとらわれている自分はいない。

 アエラのアンケートでは、「呪縛から解放され、自分らしく活躍するためにどんな努力をしてきたか」も聞いた。目立った回答は、「自分にできる仕事を精一杯こなす」だ。

「いま生きている世界で、誰にも負けない、と自分が思える知識を身につける。スキルアップのために働きながら、必要だと思われる資格を取得したり、積極的に社外の人たちに会ったり」(42歳女性)

 自分の強みを整理する。そして精一杯仕事に向き合い、時間がかかっても評価や信頼を勝ち取る。それこそが呪縛から解放される近道なのだ。(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2019年3月11日号より抜粋