新型コロナウイルスの影響は、就職活動のスケジュールの遅れとして表れている。早期化すると思われていた今年の就活は長期戦の様相を呈している。専門家たちはそんな2021年卒生の就活をどう見るのか。AERA 2020年6月8日号はコロナ禍の就活に迫った。



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 アエラは5月18〜22日に、マイナビ・日経新聞の「21年卒 大学生就職企業人気ランキング(文系)」の上位20社にアンケートを実施。旅行大手のエイチ・アイ・エスは、「現時点で未定であり、不確定要素があることからアンケート取材を見送らせていただきたい」と回答がなかったが、ほかの19社のうち、採用人数を「当初の予定より減らす」は資生堂と近畿日本ツーリスト。「検討中・調整中」はJTBと日本航空(JAL、その後27日に「中断」に)、サントリーの3社。「中断」がANA。それ以外の13社は「予定通り」だった。

 ほとんどの企業で採用活動に新型コロナの影響が「出ている」と回答。オンライン化などの対応に追われている。

 また、採用活動のスケジュールについては14社が「予定通りに進んでいる」としたが、ニトリ、ソニーミュージックグループ、近畿日本ツーリストの3社が「遅らせている」と回答した。

■内定を得ていない学生にチャンスも

 企業の採用活動のスケジュールが繰り下がっていることを受けて、就活生が「3極化している」と指摘するのは、千葉商科大学准教授で働き方評論家の常見陽平さんだ。

「新型コロナの影響で就活生全員が苦労しているように見られがちだが、約半数の学生はすでに内定を得ている。インターンシップに参加していた学生や早めに活動を始めていた学生は早期に内定が出た一方で、『就活ルール』通りのスケジュールで3月からスタートすればいいと考えていた学生は出遅れ、選考が途中で足踏みして、長期化している。加えて、ほとんど活動できていないという学生も例年より増えている」

 21年卒の就活は「早期化」と言われていたが、「長期化」することに。でも逆に捉えれば、内定を得ていない学生にもチャンスはまだあるということだ。

 政府は5月25日に、まだ緊急事態宣言が継続されていた首都圏の1都3県と北海道でも解除。選考解禁となる6月以降は、オンライン採用の流れに乗れずに採用活動をストップさせていた企業が本格的に活動を再開させる見通しだ。もともと6月以降は学生の内定辞退が増えるタイミングでもあるが、今年はどうなるのだろうか。

 ディスコキャリタスリサーチの武井房子上席研究員はこう予測する。

「例年の就活では、面接の日程が重なって選考途中で学生が辞退することも多いのですが、オンライン面接では移動時間が必要ないため、複数の企業の選考を並行して進めている学生が例年よりも増えています。また、企業の採用担当者はそれまでの経験則も頼りに学生の志望度や入社意欲を見極めてきましたが、オンライン面接ではそうしたことを探りにくく、どの程度内定辞退が出るのか“歩留まり”を予測するのが難しい。内定を多めに出すのか、少なめに出すのか、判断に慎重になっている企業もあります」

 マイナビHRリサーチ部の東郷こずえさんもこう指摘する。

「採用のオンライン化が進み、最終選考まで一度も会わずに内定が出るケースもありますが、企業の雰囲気がわからないことを不安に思う学生も少なくありません。採用活動も長期化が予想され、各企業は、例年以上に内定者へのフォローが必要になってきます」

(編集部・深澤友紀)

※AERA 2020年6月8日号より抜粋

■アエラでは、人気企業と大学に緊急アンケートを実施。「コロナ禍の就活」の現状について特集しました。発売中の「AERA 2020年6月8日号」では、アンケートの回答をもとに学生・大学・企業の就活最前線に迫ります。