投資をはじめるならNISA。今や資産運用ビギナーの合言葉だ。では、どの金融機関で始めるか? もしNISA以外で個別株なども買うなら、お得になるネット証券は微妙に違う。

 NISAは、初心者にもおすすめな制度の一つで、管轄は金融庁。投資の利益(値上がり益や分配金)にかかる税金が非課税になる点がメリットだ。

 NISAをまだ利用していない人は金融機関の口座開設からはじめよう。2022年に申し込むなら、つみたてNISAか一般NISAの2択だ。投資信託(以下、投信)だけをつみたてるなら、金融機関は証券会社だけでなく銀行などでもOK。

「つみたてNISAの対象投信は金融庁のチェックを通過した良心的なものが多いです。販売手数料はすべて無料で、信託報酬(運用コスト)も低い」

 と語るのは、ファイナンシャルプランナーの西原憲一さん(UFPF代表)だ。今や投資信託も(つみたてNISAなら)タダで買える、よい時代になった。

 2022年4月26日現在でインデックス型投信183本、アクティブ型投信23本、ETF7本だ。ETFが買えるのは主に大和証券なので、大半の人が通常の投信をつみたてることになる。

■インデックス型が人気

 インデックス型投信の分類では「S&P500」「全世界株式」「先進国株式」「日経平均株価」などシンプルな株価指数とほぼ同じ値動きをするものが半分程度である。

 残り半分は「バランス型」だ。バランス型は株式や債券など複数の資産をミックスしたもの、日本や先進国、新興国といった地域を分散して投資するタイプが多い。

 アクティブ型投信はファンドマネジャーが独自の手腕で運用するタイプ。手間がかかる分、信託報酬は高めだ。少し高くてもリターンがよければ問題ないのだが、「取られるコスト」に敏感な投資家が増えたため、現在はインデックス型のほうに人気が集中している。

「つみたてNISAに向く金融機関は、人気があって信託報酬が安いインデックス型投信を豊富に取り扱っているところといえるでしょう」(西原さん)

 各金融機関のつみたてNISA口座で買える投信の本数を比較すると、品ぞろえの面では主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券)が圧倒的で、第1候補だ。

 証券会社に抵抗がある人は銀行でスタートしてもよい。超低コストで良質な投信をそろえている銀行はどこだろうか。

 メガバンクの中では三井住友銀行がおすすめだ。同行でつみたてNISA対象の投資信託は4本だが、S&P500の投信は年0.0968%(税込み。以下同)、日経225の投信は年0.154%と信託報酬が激安。非常に良心的である。

 低コストで大人気の「eMAXIS Slim」シリーズを取り扱っているという点で注目したのが三菱UFJ銀行、あおぞら銀行、PayPay銀行だ。このうちあおぞら銀行とPayPay銀行は、つみたてNISAで同投信をつみたてられる。

 実を言うと、インデックス型投信はどの運用会社も対象指数の動きにそっくりの運用なので、たとえば「同じS&P500の投信」なら成績はほとんど同じ。現状は信託報酬が安い投信に人気が集中し、「勝ち組」がほぼ決まっている。

 具体的には前述の「eMAXIS Slim」シリーズ(三菱UFJ国際投信)、<購入・換金手数料なし>シリーズ(ニッセイアセットマネジメント)、「SBI・V」シリーズ(SBIアセットマネジメント)、「楽天・バンガード・ファンド」シリーズ(楽天投信)。

 これらの中から好きなものを買えるかどうかが、金融機関選びの決め手といっていいだろう。三菱UFJ国際、ニッセイ、SBI、楽天の低コストシリーズをフルで買えるのはSBI証券だ。他のネット証券4社もSBI・Vシリーズ以外はそろっている。

■新NISAは自動設定

 次に一般NISA。一般NISAを利用していると、2024年からの新NISAは自動で設定する。一般NISAでは、ほぼすべての投信とETF、国内外の個別株が購入可能だ。

 新NISAではデリバティブ型以外の投信とETF、監理・整理ポストを除く国内外の個別株が買える。銀行では株式投資は直接できないので、日本株や米国株、ETFも買いたいなら証券会社で口座開設をしよう。

 ネット証券では一般NISAや新NISAで個別株、ETFを買うときの売買手数料は投資信託同様に無料。ただ、NISA口座以外でこういった金融商品を買うときは手数料がかかるので、そもそもの手数料体系が安いネット証券を選ぶと安心だ。

 株やETFの手数料を比較すると、SBI証券とGMOクリック証券の安さが際立つ。この2社は「1日定額コース」なら、約定金額1000万円以下のどの価格帯でも最安。

 さらに「1約定ごとコース」(1回の売買ごとにかかるコース)ではGMOクリック証券が最安である。とにかくコストをおさえたい人におすすめだ。

(編集・文/綾小路麗香、伊藤 忍)

※『AERA Money 2022夏号』から抜粋