「今年買った株は軒並み含み損。どこまで下げるのか想像もつかないので、最近は利回りが5%を超えてきたRIET(上場不動産投信)を物色しています。不動産市況が崩れて、もう一段値下がりしても配当でカバーできるかなと期待して」

 ため息交じりにこう話すのは40代のサラリーマン投資家Aさんだ。昨年末から、アメリカの代表的な株価指数NASDAQ100の2倍のリターンが狙える“レバナス”の積立投資も開始したが、足元の株安で評価額は40%以上も減少しているという。

「岸田政権になってから、損してばかり」

 そう愚痴をこぼすAさんだんが、なかには値上がり益を気にせずに投資ライフを満喫している人もいる。そんな投資家の一人が、個人投資家の間で人気を博すカリスマブロガーで“優待主婦”のまる子さんだ。

「ちょうど3月権利確定銘柄の優待が続々と届いており、今、自宅は優待商品で溢れかえっています」

 そう話すまる子さんは、毎年200社以上の株主優待を獲得。その大半は生活に役立つものだという。今から狙えるお得な優待はあるのか? カリスマ優待主婦におすすめの7〜8月優待株をピックアップしてもらった。

「7月優待(権利確定日は7月27日)の定番は鳥貴族(鳥貴族ホールディングス/証券コード3193)とナッティ(NATTY SWANKYホールディングス/7674)。鳥貴族は有名焼き鳥チェーンで、ナッティもダンダダン酒場などの飲食チェーンを展開する企業で全国にお店があります。鳥貴族は100株で1000円、500株で5000円相当の食事券が年2回もらえて、ナッティのほうは100株で1万円相当の優待食事券が年2回もらえる。生活圏にお店がある方なら、食費を抑えるのに役立つでしょう」

 割引券よりもモノがほしいという人にはティーライフ(3172)やJMホールディングス(3539)がおすすめだという。

「ティーライフは静岡に本社を置く、お茶を主力とする健康食品の通信販売をしている会社。100株で1000円、1000株で最高の3000円相当の買物券がもらえるうえに、100株買っても十数万円の投資額に抑えられるので、健康志向の方にはおすすめです。JMHDは『肉のハナマサ』を傘下に持つ食品卸・小売を生業にする企業。優待マニアの間では、『ハナマサの商品券にしてくれ!』という声が以前から上がっているのですが、国産鶏ムネ肉2kgが送られてきます。100株で2500円相当、1000株で5000円相当と優待がグレードアップしていくのですが、必ず鶏ムネ肉2kgがついてくるので、それが届く10月以降は優待マニアの間で鶏料理コンテストのようにレシピ情報が飛び交うほど(笑)」

 このほか、洋菓子メーカーのモロゾフ(2217)は昨年まで半年以上の長期ホルダー限定で優待を提供していたが、今期からその条件を撤廃。100株で2000円相当のモロゾフ製品ないし、20枚綴りの割引券がもらえるので、甘党は要注目。

 ただし、7月優待銘柄は合わせても30銘柄程度と少ない。より多くの優待株から好みの銘柄を選ぶなら8月(権利確定は8月29日)だ。

「ニッパチ(2、8月)は小売りチェーンの決算・中間決算が集中するので、1年を通じても注目の月。王道はビックカメラ(3048)、コメダ(コメダホールディングス/3543)、サイゼリア(7581)、吉野家(吉野家ホールディングス/9861)、イオン(8267)。居酒屋好きなら磯丸水産を展開するSFPホールディングス(3198)も人気。いずれも人気チェーンなので、優待の使い勝手がよく、優待マニア御用達です」

 ビックカメラは8月時点で100株保有している株主に1000円相当の商品券を提供しているが、株式継続保有期間1年以上ならば1000相当の商品券を追加贈呈(2年以上は2000円相当)。2月にも2000円相当の商品券がもらえるので、1年以上保有すれば4000円分の商品券がもらえる。10万円程度で100株買える現状を考えると、優待利回りだけで3%弱になる。

 コメダは100株で1000円相当(300株以上を3年以上保有している長期ホルダーには2月に1000円相当を追加)の専用電子マネーを贈呈。サイゼリアは100株で2000円相当(最大1000株で2万円相当)、吉野家も100株で2000円相当(最大2000株で1万2000円相当)の食事券がもらえるほか、200株以上で吉野家商品の詰め合わせももらえる。

 いずれも家計の助けになる優待だが、毎日のように買物に出かける主婦にはイオンがおすすめだとか。

「イオンの優待は“オーナーズカード”で買物の際に提示するだけでキャッシュバックポイントが貯まります。100株なら3%、3000株以上なら7%分のお金が4月と10月に返金されるんです。お客様感謝デーには5%割引特典が受けられ、イオン系列店舗でも優待料金が適用されます。インフレに強い優待銘柄と言っていいでしょう。同様に、マルエツなどのスーパーを展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222)も100株3000円相当のお買い物券、ないしはお米2kgなどの商品を選べるので主婦には強い味方。優待利回りだけで5%を超えるお得な銘柄です」

 まる子さんによると、クルマを頻繁に使う投資家仲間は優待としてQUOカードを送っている銘柄を狙うという。水道光熱費と異なり、ガソリン代だけはQUOカードでの支払いが可能なためだ。

 いずれも魅力的な優待だが、優待狙いの投資にはリスクもあることには注意したい。

「今年、個人投資家の間ではJT(2914)とオリックス(8591)が優待廃止を決めたことで衝撃が走りました。どちらも優待狙いの投資家にとっては定番の銘柄だったからです。このように、今後は優待を廃止する企業が増えていく可能性があります。海外機関投資家は優待を利用できる機会がないからです。一部の投資家しかメリットを享受できないのならば、優待を廃止して配当を増やしたほうが多くの投資家が喜ぶと企業側が考えるのは当然のことでしょう……」

 優待廃止の動きが進むなか、新設される優待枠も少なくないという。

「SDGsやCSR(企業の社会的責任)の観点から、株主優待の選択肢として、あしなが育英会や日本ユニセフ協会などへの寄付を取り入れる企業が増えているのです。優待割引券や企業の商品を貰う代わりに、その金額分の寄付ができるというかたち。ウクライナ危機を受けて、ウクライナへの寄付ができる優待枠を設ける企業も出てきています。企業のみならず、今後は投資家にも社会的責任が求められていくのかもしれません」

 家計に役立つ優待と合わせて、寄付枠を活用すれば、ワンランク上の優待ライフを味わえる……かも。(田茂井治)

※週刊朝日オンライン限定記事