米国のインフレの勢いが収まらない。8月のCPI(消費者物価指数)は想定を上回り、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)による利上げの観測が高まっている。利上げが続くと、どんな影響があるのか。AERA 2022年9月26日号の記事を紹介する。

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 9月13日、米国の主要な株価指標であるニューヨークダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)は前日比1276ドル安で取引を終え、下落幅、下落率ともに今年最大となった。急落を誘発したのは、同日朝に発表された8月の米国CPI(消費者物価指数)だ。

 前年同月比8.3%の上昇を記録し、事前予想の8.0%を上回った。7月頃からガソリン価格が下落に転じ、インフレ(物価上昇)が鈍化したとの観測が広がっていただけに、金融市場に大きなショックをもたらしたようだ。

 こうしてインフレが続いていることが確認されれば、米国の中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会)は利上げを実施せざるをえない。冒頭で触れた米国株の急落も、「想定以上にインフレが進行⇒FRBが大幅利上げを実施する」との連想が売りを触発したからだ。

 米国の現地時間で9月20〜21日には、米国の金融政策決定会合であるFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。当初は0.75%の利上げとの予想が主流だったが、8月のCPIを踏まえて1%まで拡大させる見方も出てきた。

 あるいは、9月は0.75%にとどめるものの、11月のFOMCでも同率の利上げを継続するとの声も聞かれる。いずれにしても、来年以降に期待される利上げ打ち止めが遠のく可能性もあると指摘するのは、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎さんだ。

「今後も利上げが続くとなれば、株式市場がリスクオフ(資金回収)の方向に傾くことは避けられません。日米金利差拡大に伴って、米国ではドル高・株安が同時進行する可能性が考えられます。日本側から見れば、為替市場で円安の流れがさらに続くことになりうるでしょう」

 11月に中間選挙を控えるバイデン大統領がインフレ抑制策を打ち出すことも予想されるが、大幅利上げに伴う景気後退懸念のほうに関心が向けられがちだろう。米国株を取り巻く環境の好転は期待しづらい情勢だ。(金融ジャーナリスト・大西洋平)

※AERA 2022年9月26日号