iDeCoの手数料に注意。手数料無料が当たり前のNISA(少額投資非課税制度)に比べ、iDeCo(個人型確定拠出年金)は「必ずかかるコスト」が数多くある。余計な手数料を取らない金融機関選びが大切だ。「AERA Money 2022秋冬号(アエラ増刊)」から、iDeCoの手数料に関する記事をお届けする。

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 この10月から、iDeCoに加入できる会社員の「枠」が増えた。これまで企業型DCに加入しているなどの理由で加入できなかった会社員も、iDeCoに申し込めるようになったのだ。

 iDeCoは投資信託や定期預金を月5000円からつみたてていく国の制度。年金としてつみたてるので、受け取るのは一番早くて60歳以降になる。つみたて期間中は毎月の拠出額が所得税から控除されるので税金面でもかなりおトクだ。

 ただ、NISAには無い注意点がある。さまざまな手数料があるのだ。はっきりいって、高い。「何コレ?」と問いたくなる手数料がたくさんある。

 まず、iDeCoに新規加入したり、企業型DCからiDeCoに資産を移したりする場合、初回に2829円を払う。入会金のよう……。

「運用中は一番安い金融機関を選んでも毎月、国民年金基金連合会に105円+信託銀行に66円で合計171円、年間2052円を払うことになります。iDeCoは5000円以上1000円単位でつみたてられますが、最低金額のつみたてでも5000円に対して171円を取られてしまいます」(ファイナンシャルジャーナリスト/竹川美奈子さん)

 5000円に対して171円の手数料だと、率にして3.42%と高い。2万3000円に対して171円なら0.74%になる。これならギリギリ許せるか。

■月171円を必ず徴収

 これらの手数料は、iDeCoのシステムの利用費などに充てられているのだろう。しかし、iDeCoの加入者は2020年3月の156万人から2022年7月時点で256万人と増えている。増加に合わせ、少し下げてほしい。

 ところで、月171円というのは、ネット証券など良心的な金融機関の話。大手銀行や生命保険会社などのiDeCoは割高になりがちだ。たとえば、ゆうちょ銀行は月430円、メガバンクでは標準コースで月556円のところもある。

 なお、iDeCoの掛け金は月単位だけでなく年単位拠出=年払いも認められている。年払いができるのは、企業年金のない会社員と自営業者(国民年金第1号被保険者)、専業主婦<夫>など(同第3号被保険者)だ。2022年10月から「企業型DC+iDeCo」「企業型DC+DB+iDeCo」の併用加入の人はiDeCoの年単位拠出ができなくなった。2024年12月から公務員やDBだけに加入の人も年払いができなくなる。

 年払い対象者の話が長くなったが、iDeCoを年払いにすれば国民年金基金連合会に払う月105円の手数料が年1回に。つまり「105円×11カ月分」で年間1155円の手数料を節約できる。

 年払いの場合、払い込む月に1年分の掛け金をすべて投資することになる。もし一括で払い込んで、それ以降に相場が下がり続けると悲しくなりそうだ。数十年の長期で見れば、年1回投資と毎月投資の運用成績の差は縮まっていくものだが、多少なりとも時間分散の効果は薄れる。よって、「みなさん、iDeCoは年1回の拠出にしましょう!」と自信をもっておすすめできない。

 最後に取られるのは給付手数料。満60歳以降にiDeCoの資金を受け取る際に発生する。給付1回につき440円。振込手数料か!

 ここから先は、かかる人もいれば、かからない人もいる手数料シリーズ。移管する際の手数料に関しても知っておこう。

 もともとiDeCoを選んでいた人が企業型DCに資産を移したり、自分の都合でiDeCoの金融機関を変更したりする場合、変更元の金融機関が4400円などの移管時手数料を設定しているケースが多い。

 還付手数料なるものもある。iDeCoの加入条件の一つに「国民年金の保険料を納付していること」とあるが、国民年金を払い忘れた月にiDeCoの掛け金は払っていたりすると、後日「国民年金を払っていない月のiDeCoのお金」が戻る。その際、国民年金基金連合会から1048円が徴収される。これが還付手数料だ。

 ここまででiDeCoが嫌になりそうだが、「月171円のサブスク料を払って投資信託でお金を増やす!」と割り切るしかない。

竹川美奈子(たけかわ・みなこ)/ファイナンシャルジャーナリスト。LIFE MAP代表。ファイナンシャルプランナー兼ジャーナリストとして20年以上活躍。投資信託やiDeCoの書籍を多数執筆

(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍)

※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋