作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏がドラマ「女囚セブン」(テレビ朝日系)を「予言の書のようなドラマ」という理由とは?

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「女囚セブン」(テレビ朝日系の連ドラ)が終わってしまって、さみしい。刑務所で出会う7人の女囚たちの物語だが、老老介護の果てに夫を殺した女、DV男を殺したシングルマザー、不倫相手の男の言いなりで罪を犯してしまった女など「女ゆえ」の罪を犯した女たちの物語だ。主演の剛力彩芽さんが演じるのは殺人の容疑をかけられる京都の芸妓だが、実は冤罪で黒幕は時の法務大臣という設定。

 彩芽さんが、女囚一人一人に向かって啖呵を切るシーンが見事だった。京都弁ではんなりと、だけど凄みのある調子で、「日本の男はみんなクズどす。男女平等とか言いながら、家事も育児も、結局は女まかせや」「この国は老人のひとの良さにつけこんでる」「老老介護殺人の加害者を国が裁くんは詐欺どす。裁かれるべきは、この国どす」と、女の正論をバッサリと放つ。

 何より釘付けだったのは、法務大臣役の高嶋政伸さんがアベさんにそっくりだったこと。多分、似せていた、と思う。髪の分け方、表情、だぼっとしたスーツの着方、「女性活躍」を謳い耳に優しいことは言うが、とても表面的だったりとか……次第にアベさんにしか見えなくなってくるのだ。しかも、そんなアベさん、じゃなく高嶋さんのことを置屋の女将役の梶芽衣子さんが「性根の腐った者に権力を持たせたら、この世は闇でっせ!」と怒るシーンなんて、もう、アベ政権に苛立つ人々の心の叫びでなくて何だろう。ほんと、闇だよ! 腐ってるよ!

 傑作だったのは高嶋さんがテレビカメラの前で最高の笑顔で優しさを振りまく一方、秘書と二人きりになった車内で激しい暴力を振るうシーンだ。しかも、お前のせいだぁ!とか叫びながらね。もうね、その後に起きる真由子事件をはじめ、リアルな腐敗と闇を連想させる予言の書のようなドラマでした。

 さて、そんなアベ政権への「闇でっせ!」という怒りがばっちりと反映された都議会選挙。とはいえ、本当にこれから闇は明けるんだろうか。都民ファーストの会の圧勝から聞こえてくるのは、小池都知事の高笑いだけ……と思うのは私だけじゃあるまい。

 選挙前に都民ファーストの377もある政策を読んだのだけれど、心から驚いたのは377も細かい政策を書いているのに、原発事故に関することが一切書かれていないことだった。東京の電気のための原発であれほどの事故がおき、放射能汚染された土地、空気、水に不安を感じる都民が多い中で、原発事故を完全スルーできる都知事って何だろう。「勝つ」ためには、人々に痛みや葛藤を強いる難しい問題を華麗にスルーする都知事に、生活者の顔は見えているのか? 女囚セブン、次は百合子女王登場での第2弾、期待したいです。

 ちなみにドラマでは最終回、高嶋さん演じる大臣は改心して自ら罪を認めて刑務所に入り、そして他の囚人に蹴飛ばされ「あひー」と叫ぶところで終わる。「忖度」しない表現の自由と勢いに希望があると思う。

※週刊朝日 2017年7月21日号