漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、当たりそうな要素を詰め込んだ「警視庁いきもの係」(フジテレビ系 日曜21:00〜)にある意外なニーズを指摘する。

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 なにかとTBSに圧迫され気味なフジの日曜夜9時枠。今回は、動物、アイドル(橋本環奈)、ミステリー、エンディングにはダンスと、当たりそうな要素をこれでもかとブチ込んでみた闇鍋状態なんである。



 元捜査一課の刑事・須藤(渡部篤郎)が、窓際部署の「総務課動植物管理係」に異動。動物マニアの新人巡査・薄(うすき・橋本)とコンビを組んで、動物が関わる事件を解決するはめに。

 須藤はある事件で銃撃され、頭に銃弾が残っている設定だ。この「頭に銃弾」が、思いっきり裏のTBSドラマ「ごめん、愛してる」の主人公・長瀬智也とかぶってるのだ。よーし、この夏日曜夜9時は「頭に銃弾」ブームだ!……って、決めたの誰よ。

 しかも長瀬の方は、今にも死んじゃいそうで、死ぬ前に生き別れの母に会いたいってな切迫した状況なのに、こっちの須藤は以前の記憶は無いものの、見た目めっちゃ元気で猫なでてる。さすが「いきもの係」、イキがいいねって、そうじゃねぇよ。どうなってるのよ、「頭に銃弾」。

 しかしこのドラマ、どんどん猫だの十姉妹(じゅうしまつ)だの動物なごみ映像がぶっ込まれるので、「とりあえず面倒くさいこと考えるのはよそう」スイッチがポチッと入る仕組みだ。薄巡査が事件解決の糸口を掴むシーンでは、意味ありげに屋根にとまる雀のカット。3羽のうち1羽だけくちばしが半開き。その雀がズームアップされる。雀を凝視する薄。まさかこの雀に重大な鍵が? と、「雀以外の鳥の声が聞こえます!」って、そっちかーい。くちばし半開き、関係ないのかーい。

 だから言ったじゃない、何も考えるなって、そう囁かれてるようなこのドラマ。裏のTBSが韓流ドラマリメークでコッテコテの濃い味な分、あっさりテイストが胃にやさしい。あちらで疲れちゃったら、こちらの可愛い女の子と動物映像で癒やされて、どうぞってなスタンス、案外ニーズがあるかもしれない。

 エンディングのダンス映像だって、以前この枠でブレークした「マルモのおきて」のマルモリダンスに比べ、流行らせようという意気込みがさほど感じられないゆるさがある。ただひとつ疑問なのは、タイトルの「いきもの係」をわざわざ平仮名にまでしてるのに、なんで主題歌が「いきものがかり」じゃないのよ。

※週刊朝日 2017年7月28日号