「男はつらいよ」シリーズなどで、女優として実績を積み重ね、今年4月からはNHKの情報番組に出演、午後の顔になっている美保純さんの登場です。オープンマインドさが人気の美保さん。作家の林真理子さんと、大人の本音トークで盛り上がったのでした。

*  *  *
林:美保さんは「あまちゃん」(2013年、NHK連続テレビ小説)にも出てたし、NHKに好かれてますよね。

美保:そうなんですよ、意外と。にっかつロマンポルノのころからちょいちょい使ってくれてて。NHKのスタッフは頭が良くて、東大出身がたくさんいますけど、そういう人たちとものすごく気が合うんですよね。真逆だから。スポンサー関係なく、いいキャスティングがしたいと思うと、私なんじゃないかな(笑)。でも、「NHKに出てるぞ」というステータス意識はないんですよね。

林:「5時に夢中!」(TOKYO MX)もすごい人気ですよね。東京だけじゃなくて、地方の人もけっこう見ているでしょう?

美保:北関東とか西のほうにも、放送地域がジワッと広がって。「奇跡の番組」と言われているらしい。

林:好き放題なことしてますよね。

美保:私、すごいエロネタを言ってもスケベにならないみたい。「ある程度の経験を積んだ人じゃないと、このエロネタはわからない」みたいな話が好きですね。

林:安定感も現役感もありますよ。美保さん、もう50代になってたんですね。変わらないですね、デビューのころと。

美保:8月で57歳になるんです。変わらないですか? ちょっと変わったと思うけど(笑)。

林:私の中では、20代とか30代で止まっちゃってる。そのころの美保さんって、とがってて、かわいくて、元気があって、カルチャーの最先端を行ってましたよね。

美保:言うことが小生意気で、新しい女の子だったのかもしれない。今の「さっしー」(指原莉乃)みたいな、ちょっとヤンチャな子でした。

林:たしかに、今でいうと「さっしー」かもね。

美保:最近「美保純タイプ」がいっぱい出てきて、私、子ども産んでないけど、自分の娘が芸能界にいっぱい誕生しているような感覚です。ワサワサ出てきて、うれしいですよ。

林:美保さんは、ヤンチャな女の子が、女優さんとしてちゃんと大成できることを示してくれたもんね。

美保:そうそう。女優でもなんでも、自分で稼げたら無理やり結婚しなくてもいいし、自由なまま、ちょいちょい恋愛しながら生きていくのもいいなと思うんです。若い女の子たちのことは、「だからみんなも安心してザワザワ出てくれば?」という気持ちで見ています。

林:美保さんが女優として盤石になったのは「男はつらいよ」シリーズですよね。あれで国民映画のファミリーになって。

美保:このあいだ、山田(洋次)監督に「ごごナマ」に出ていただきましたが、私がちゃんとやってるか心配してくれていたみたい(笑)。「ダメな女優になったな」と思われたらどうしようと思ったんだけど。

林:今、「家族はつらいよ」をシリーズで撮っていらっしゃいますね。

美保:ああいうのにちょっとでもいいから出たいなと思ってたんですけど、きっかけがなくて。「山田組」って離れちゃうとなかなか出られないんですよね。そしたら山田監督が声をかけてくれて、「来年も元気でいなさいよ」みたいなことを言ってくれたから、すごくうれしかった。

林:「男はつらいよ」では、タコ社長(太宰久雄)の娘で、新婚早々夫婦ゲンカしたり、お父さんをハラハラさせるような、今どきの若い女の人という設定でしたよね。

美保:そうなの。悩みを抱えている今どきの下町の奥さんで、私もそうだったけど、とにかく人の言うことなんか何も聞かないの。実際の私も、人の言うことを聞けるようになったのは、38か39歳。もっと言うと、最近になってやっと、かもしれない。脳が小学生のままで、成長していないんです。そのせいで顔が小さいのかもしれない(笑)。

林:小顔だと、若々しく見えていいですよね。山田監督が美保さんを「寅さん」にキャスティングしたきっかけは何だったんですか。

美保:山田監督の同級生で、すごく仲良しの小学校の先生が、ポルノ時代の美保純を大好きだったらしいんです。彼の教え子の作文をまとめた本に「先生は美保純が好きで、いつも美保純、美保純と言いながらブロマイドを見ている」って書いてあるのを山田監督がお読みになって、「おもしろいんじゃない?」と思ってくれたみたいで。

林:美保さんご自身の口から、ポルノ女優時代のことがバンバン出てくるから、おもしろいです。

美保:バンバン言ってます。にっかつロマンポルノは、ある意味文化の一つというか、映画の歴史の一つになってるから、誇りを持って「ロマンポルノを経て今がある」と言えます。でも、当時脱ぐ女の子は、楽屋で会うとみんな暗かった。うつっぽくなっちゃってる子も多くて。

林:でも、美保さんは健康的で明るいイメージで、「プレイボーイ」や「GORO」のグラビアに載って、ガンガン売れたんですよね。女の子が元気にかわいくなっていく時代の先駆けのアイドルでしたよ。

美保:そうかもしれない。不良っぽい野性的な女の子がいきなり芸能界に入っちゃった感じ。テレビ向きじゃない雰囲気だったと思います。

※週刊朝日 2017年7月28日号より抜粋