世の中には、実に多くのジンクスがある。「財布に蛇の皮を入れておくとお金が貯まる」「猫が顔を洗うと雨になる」「歯が抜ける夢を見ると、悪い事が起こる」などなど、良い意味でも悪い意味でも多くのジンクスが存在する。

 芸能界もその例外ではなく、むしろ“水商売”だからこそジンクスというものを信じる芸人がたくさんいた。私が所属していたお笑い最大手プロダクションのよしもとクリエイティブ・エージェンシーにも数々のジンクスがあった。

 まずは、「自分より収入の高い芸人から財布をもらうと収入が増える」――。

 これはいまでは有名かもしれないが、あの今田耕司さんの財布から始まった。次長課長の河本準一さんが、今田さんから財布をもらうと、まもなく売れた。その後、麒麟の田村裕さんに、財布が行き渡ると、「ホームレス中学生」で大ブレイク。そして、天津の木村卓寛さんに渡り、エロ詩吟が開花。パンクブーブーの黒瀬純さんに行き着くと、THE MANZAIで優勝。と、このジンクスはかなりの確率である。

 現在は、どの芸人さんに渡っているかは不明だが、芸人の間ではこの財布を喉から手がでるほど欲しがっている者も多いことだろう。ちなみに財布は黒のボッテガ・ヴェネタとのことだ。

 そして、財布以外のジンクスと言えば、私が知っているのは、「あるアパートに住むと売れる」である。場所は言えないが、木村祐一さんが上京した際に住んだアパートである。

 木村さんの後は、雨上がり決死隊の宮迫博之さん。そして、宮川大輔さんが住んだ。三者とも言わずと知れた超売れっ子芸人であり、このアパートは都内にあるが、前の住人から指名された者しか住めないので、ある意味その時点で幸運を勝ち取っていると言える。しかし、その後は水玉れっぷう隊のケンさん、しあつ野郎さんらが住んだが、まだ売れているとは言えない。是非ともジンクスのためにも頑張っていただきたい。現在の住人は不明であるが、間違いなくこのアパートも住むと売れるというジンクスがあった。

 住居で思い出されるのは、収入の1/3の家賃の物件に敢えて住むと言うジンクス。

 例えば、収入が12万だと4万円。まぁ、妥当に感じるが、100万円の収入がある芸人は、33万円と考えると家賃の占める割合は高いと感じるだろう。そうすることにより、自分を鼓舞し続け、活躍出来るということである。逆に、収入に見合わない高い家賃のマンションにわざと住み、頑張って売れるというジンクスも確かにある。何がともあれ、ジンクスはあくまでもジンクス。必ず売れるということはないが、夢を追う商売故に、励みになることは間違いないだろう。(文/元吉本芸人・新津勇樹)