俳優・満島真之介はずっと、“衝動”に突き動かされて生きている。高校卒業後、「日本の中心に行こう」と思い立ち、単身上京した。やりたいことがあったわけではなく、学童保育の補助職員や、映画の撮影助手などのアルバイトをして暮らした。20歳のとき、自転車で日本一周の旅に出た。仙台で、昇る朝日を見ながら、「表現がしたい!」という衝動が湧き上がった。真っ先に浮かんだ、連絡を取りたい人の顔――。それは、撮影助手時代に知り合った、ある芸能プロダクションの社長だった。

「“表現”といっても、そのときは歌でも踊りでも大道芸人でも、何でもよかったんです。連絡をとったのが俳優事務所だっただけで、正直、子供の頃から俳優になりたいなんて一度も思ったことはなく……。でも、いざ芝居の現場に行ってみると、今までに感じたことのない感覚との出会いの連続に身震いしました。新しい作品、役柄、スタッフとの出会い、何カ月かの間それぞれの人生を捧げ、ひとつのものを創り上げたら、潔く解散する。その流れは、冒険家気質を持つ僕にすごく合っていたんです」

 昨年1月、野田秀樹さんが作・演出した舞台「逆鱗」に出演していたときのこと。公演終了後、満島さんの楽屋にある西洋人の紳士が駆けつけて、言った。「今度こういう映画を撮るんだけれど、ぜひ君に出演してほしい!」。手渡された書籍には、『星砂物語』とあった。宮沢賢治や井上ひさしの英語翻訳にも数多く携わるロジャー・パルバースさんが初めて日本語で書いた小説だった。

「ロジャーは、舞台を観終わって、すぐ駆けつけたらしく、僕に会ったときは、ハァハァ息を切らしていました(笑)。それだけでもすごくパワーを感じたんですけど、話を聞いてみたら、ロケ地が沖縄、しかも僕が小さい頃から行っていた伊江島。その瞬間に、この映画に出演するのは、偶然を超えて、必然じゃないかと思ったんです」

「STAR SAND─星砂物語─」は、太平洋戦争末期の沖縄で、誰も殺さない米兵と、敵と戦わない日本兵、その2人を見つめる少女の物語。

「この仕事を始めて6年が経ちましたが、芝居をすることがどういうことか、いまだにわからないことだらけ。ただ、演じることは嘘をつくことではない。役を通して表現する喜びも哀しみも、すべて自分自身の中にある。だからこそ、誠実に自分と向き合い、表現していくんです」

 役を通して痛みや哀しみ、幸福や孤独、信頼や苦悩……様々なことを感じられることが生きがいだという。

「子供の頃から成長スピードは落ちてると思いがちだけれど、実は同じペースで細胞は入れ替わっているし、ミクロの部分で人間は日々変化している。人や役や感情との出会いはすべてが冒険みたいなもの。絶対的に今日の僕は昨日の僕とは違う。“今日の自分”を愛し、信じていきたい」

※週刊朝日  2017年8月11日号