ゲスの極み乙女。のアルバム「達磨林檎」が5月に、7月にはindigo la Endのアルバム「Crying End Roll」を出した川谷絵音さん。林真理子さんとの対談で、プライベートについて語ってくれました。

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林:SMAPにも楽曲提供してたんですよね。仲良しになりました?

川谷:香取(慎吾)さんがずっとファンでいてくれて、スマスマに出させて頂いたときなんかは空き時間にけっこう話をさせて頂きました。SMAPのライブも見に行ったりとか。

林:私も何回も見に行きましたけど、あれがないと思うと寂しいです。

川谷:僕、今のところSMAPさんの最新のシングルをつくったんです。両A面の1作で、「愛が止まるまでは」という曲を。

林:あ! 川谷さん、笑うと嵐の相葉雅紀さんにそっくり。言われたことないですか。

川谷:言われないし、ファンの方に怒られます(笑)。

林:川谷さんのファンも、熱狂的な人がいっぱいでしょう。ファッションもとがった人が多いんですか。

川谷:いや、ぜんぜん。同世代のバンドのファンは10代や20代が多いですが、僕らは子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで老若男女なんで。

林:えっ、おじいちゃんおばあちゃんはどういう曲が好きなんですか。

川谷:僕らの音楽は70年代、80年代の洋楽や海外のプログレッシブロック(先進的、前衛的ロック)の影響もあるんですが、年配の人はそういうのを当時聴いてるんです。「こういう系譜からの影響がある。この演奏が好きだ」からハマって、好きになってくれるパターンが多いです。

林:目指すは老若男女なんですね。

川谷:あまり目指してるものはなくて、自分たちが好きなこと、楽しいことをやろうと。僕が好きな音楽を、ほかのメンバーが好きでいてくれるから成り立ってるだけで、自分を曲げたことは一回もないんです。それでも好きになってくれるファンがいるのはうれしいですけどね。

林:川谷さん、ふつうのアーティストとちょっと違いますよね。今のアーティストって世間的に丸くなってる人が多いじゃないですか。

川谷:もうとんがるしかないじゃないですか。というか、何か発信するとそういうつもりじゃなくても、とんがってるみたいになっちゃって。

林:近しい人には「川谷さんを理解するのって大変」とか言われます?

川谷:言われますね。

林:川谷さんは長崎ですよね。ずっとピアノを習ってたんですか。

川谷:まったく。音楽を始めたのは大学で軽音部に入ってからなんで。

林:東京農工大ですね。将来どうしようと思ってたんですか。

川谷:なんとなく東京に行きたくて。私立は高いから、国立なら東大か東京工業大か東京農工大かなと。僕、理系なんで。偏差値的にいって東大とか東工大はちょっと難しそうと思って、東京農工大にしました。

林:何を専攻してたんですか。

川谷:応用分子化学。

林:な、なんですか、それ。

川谷:ザックリ化学なんですけど、大学院に入ってからはセラミックの研究をしてました。

林:国立の工業大学って、バンドなんか盛んじゃない気がしますけど。

川谷:でも、軽音部とかジャズ研究会とかいろいろありました。「けいおん!」というアニメがはやってた影響でバンドやってる人が多くて。

林:ギターはすぐ弾けたんですか。

川谷:まったく。何となくずっとやってるという感じでした。僕、ギタリストじゃないですからね。

林:大学で始めたindigo la Endはすぐ有名になって?

川谷:いや、3年ぐらいは特に何もなくて。ゲスの極み乙女。は、わりとすぐポコンと売れて、テレビに出始めると昔の友達から連絡が来るようになりました。それまでは「あいつ、落ちぶれたな」と思われてたんです。僕、大学院を中退したんですが、それが逆によかったなと。

林:バンドをやらなかったら、今ごろは旭化成とかそういうところに勤めてたんですか(笑)。

川谷:会社には入れなかったと思うんです。集団行動がすごい苦手なんで。大学の軽音部も、やっぱ意見が合わなくて途中でやめちゃって。

林:みんなからどんなふうに言われたんですか。理屈っぽいとか?

川谷:理屈っぽいし、「自分の意見がすべて」という人間で、ちょっとでも違うと、「それ違うから」って。基本的になじめませんでした。

林:昔からそうなんですか。

川谷:わりと人見知りで、あまり友達もつくらないタイプ。中学のとき転校してなじめず、ヤンキーのグループに入ってる時期がありました。

林:でも、ヤンキーにはならず。

川谷:まったく。距離をおいてて、「あいつ、よくわかんないね」みたいに思われてました。

林:才能があって特別な感じだから、高校ではちょっと浮いてました?

川谷:浮いてました。僕、すぐ友達を切っちゃうんです。

林:芸能界にお友達はいますか?

川谷:今はけっこういます。

林:でもいつ切るかわからない?

川谷:いや、今はさすがにそういうモードではないです。

林:お母さまがクリスチャンで、お父さまは学校の先生ですよね。

川谷:はい。うちのおやじは柔道、空手、相撲という格闘系なんです。チョップで教卓を半分に割ったり、裏拳して黒板にヒビ入れたり。俺、なんも遺伝してないんです、そういうところ(笑)。

林:川谷さんは末っ子ですよね。勉強もできるし、顔もかわいいし、メチャクチャかわいがられたでしょう。

川谷:兄、姉に対する厳しさを見てたら、僕には甘かったのかなと。

林:長崎にはよく帰るんですか。

川谷:いや、ぜんぜん帰らないです。福岡に姉がいて、姪っ子に会いに福岡には行くんですけど。

林:いくつですか、姪っ子さん。

川谷:今4歳で、生まれたときからずっとゲスの極み乙女。とかindigo la Endを聴いて育ったんです。今、「影ソング」という曲がいちばん好きで、ずっと歌ってるんです。闇が深い顔してて、目が曇ってて、友達もつくらないし、幼稚園でも群れからはずれてて。ただ音楽がすごい好きで、ピアノ弾いたり、バレエをやったりしてて、この子は将来性があるなと思って。

林:将来楽しみですね。

川谷:このまま順調に友達をつくらずに、もっと寂しい孤独な人生を歩んでほしいなと思って(笑)。

林:おじさんがフォローしないと。

川谷:彼氏とか連れてきたら、俺、ブン殴ろうかなと思ってるんで(笑)。おゆうぎ会を福岡まで見に行ったら、子どもの中でいちばんリズム感がよくて。基本、日本人は表でリズムをとるんですけど、外国人は裏拍でとるんです。それと、左足でリズムをとる人のほうがリズム感がいいと言われていて。姪っ子、左足で、さらに裏拍でリズムとってたんで、けっこうすごいなと思って。

林:顔もカワイイですか。

川谷:めちゃくちゃカワイイです。親バカみたいになってますけど、僕が買ってあげたグッチのワンピース着てます、4歳で(笑)。

林:グッチのワンピース!

川谷:僕、姪っ子にいちばんお金使ってるかもしれないです。兄ちゃんに甥っ子が2人いるんですけど、なんもあげたことないです(笑)。

林:そういう話、好きだな。美しい姪っ子にお金を使う話が海外の小説にありましたが、美しい姪って芸術家の気持ちをそそるみたいですよ。

川谷:そうかも。その子に会うと制作意欲が湧いたりするんで。

林:何年か先、ゲスの極み乙女。の後ろで何かしてるかもしれない。

川谷:姪っ子とコラボできたらいいなと思ってるんです。

※週刊朝日 2017年8月11日号より抜粋