放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回はイモトアヤコさんについて。



*  *  *
 イモトアヤコさんが番組「イッテQ」のディレクター(D)、石崎さんと結婚されました。僕は石崎さんにお会いしたことないですが、本当に素敵な結婚だと思いました。交際0日でプロポーズと言ってましたが、最近、「交際0日婚」というワードを聞くようになりました。自分で言うのもなんですが、元祖交際0日婚といったら僕と妻のことだと思います。

 2002年に結婚した僕らは本当に交際0日。大島さんのご両親に挨拶(あいさつ)に行くときも、森三中の村上と黒沢がいました。婚姻届を出しに行くときに初めて妻と2人きりになりまして、そのときに妻がさすがに「なんか気まずいね」と言いました。リアルに交際0日婚なんですよね。「ふざけて結婚しやがって」と何かと叩(たた)かれたこともありましたが、恋愛感情で結婚しなかったことを僕は「実験」と呼び、それがまた叩かれたこともありました。

 日本も3組に1組が離婚する現実。恋愛結婚してそうなるわけです。となると、恋愛結婚以外の選択もあるはずだと本気で思ったりもしています。イモトさんと石崎D。一緒に「イッテQ」のイモトさんのコーナーを作り上げてきた。石崎Dはイモトさんの芸人としての根性と力、そして神様が時折くれる運を見て、絶対に芸人として人としてリスペクトしていたはずです。そしてイモトさんも、石崎Dに多大なるリスペクトの気持ちを持っていたはずです。

 僕は結婚前から妻のことをリスペクトしていました。深夜番組でサウナに「おっさん」のように裸で入ってきた大島さんを見て爆笑しました。脱ぐ勇気があるから笑えるわけじゃない。そこに芸人としての覚悟や生きざまが見える。だから僕は大島さんを初めて見たときからリスペクトしていましたし、結婚してからもずっとそうです。

 脳科学的には、恋愛感情というものは、数年たつと消えていくといわれています。恋愛感情は減っていっても、人をリスペクトする気持ちというのは簡単には減りません。むしろ、時がたつと増えていく。蓄積されていくものです。だから、イモトさんと石崎Dは、リスペクト婚なんだと思います。お互いをリスペクトした上の、恋の感情ではなく「愛」。これは夫婦としては強いです。

 うちの妻は結婚して2年ほどたったときに、「幸せなことは笑いにならない」と泣いていました。その日、自分に気合を入れるために髪の毛を坊主に、そこからより体を張るようになり、さらにおもしろくなりました。幸せなことが芸人さんの邪魔をすることはよくあります。今年めでたく結婚した南海キャンディーズの山ちゃん。「妬(ねた)み嫉(そね)み」の芸風でしたが、今の彼がどんだけ妬んでもリアルじゃない。だけど、彼はそれを捨てて、新しい自分を確立させるために挑戦しているのでしょう。凄(すご)い覚悟です。

 そしてイモトさん。イモトさんの場合は、結婚したからこそ、より頑張ることが笑いになってくるのでしょう。イモトさんと石崎Dの結婚とこれからが、沢山(たくさん)の人に結婚の新しい形と希望を見せてくれることを願っています。きっとそうなるはず!

※週刊朝日  2019年12月13日号