シンガー・ソングライターの槇原敬之容疑者(50)が13日、覚せい剤取締法違反(所持)などの疑いで警視庁に逮捕された。1999年に同容疑で逮捕されてから約20年越しでの再犯に、業界関係者らが対応に追われている。



 ファンが心配するのは、槇原容疑者が制作に関わった曲が今後、どのように扱われるのかである。2014年にCHAGE and ASKAのASKA氏が同じく覚せい剤取締法違反(使用)で逮捕された際には、商品の製造権や販売権を有するユニバーサルミュージックが、CHAGE and ASKAとASKAのソロ作品の出荷やデジタル配信を停止している。

 なかでも注目は、槇原容疑者が作詞・作曲した楽曲「世界に一つだけの花」だ。アイドルグループ・SMAPが歌い、累計売上は300万枚(シングル)を突破した言わずと知れた名曲だ。03年の紅白歌合戦ではこの曲でSMAPが大トリを務めた。同曲は学校の教材でも使用され、カラオケでも定番の曲である。

 同曲のレーベルであるビクターエンタテインメントに、曲の販売・配信停止の可能性について問い合わせると、「ただいま事実確認中で、(今後については)対応を検討中」との回答だった。

 では、教科書はどうか。教科書を出版している光村図書によると、来年度分の小学4年生向けの道徳の教科書はすでに制作が完了しており、ここに同曲が掲載されているという。担当者は「今後については検討中」とコメントした。

 一方で思わぬ反響もある。通信カラオケ「JOY SOUND」を運営するエクシングによると、「世界に一つだけの花」は逮捕前のカラオケランキングで89位だったのが、逮捕後のランキングでは36位にまで上昇しているという。

「『配信停止』についてはレコード会社から要請があれば検討しますが、今のところそのような動きはありません」(担当者)

 カラオケはCD音源を利用していないため、レコード会社が楽曲の販売や配信を停止しても、影響を受ける可能性は低いようだ。レコード関係の著作権に詳しい、渋谷カケル法律事務所の高木啓成弁護士は言う。

「カラオケの音源はカラオケ事業者が原曲の音源を聞いたうえで、それをコンピューターで再現したものです。一部を除いて、カラオケの音源はCDの音源そのものを使用しているわけではないので、仮にレーベルがカラオケ事業者に配信停止を求めても、法的な拘束力はありません。以前、ASKAさんが逮捕された際にもカラオケの配信停止はありませんでしたから、今回も可能性は低いのではないでしょうか」

 これらを踏まえ、ある音楽関係者はこう予測する。

「ASKAさんが逮捕された時も、同氏の楽曲がカラオケランキング上位に食い込みました。今回の逮捕をきっかけに注目されたことで、その他の槇原容疑者の楽曲がランキング上位に食い込んでくるかもしれません」

 JOY SOUNDのHPをみると、17日18時時点でのデイリーランキングで、槇原容疑者の「もう恋なんてしない」が27位につけている。ランキング上昇は、ファンからの無言のエールなのかもしれない。(AERA dot.編集部/井上啓太)