「闇営業」で吉本興業から契約を解消されたお笑い芸人の宮迫博之。その後はYouTubeの住人となって独自の活動を続けてきたが、登録者や再生数は今や芸能人でも上位に位置している。どん底からの逆転ぶりの今をどう感じているのか。本人が現在の心境について語った。

「多くの方にご迷惑をおかけしてしまっているので、地上波テレビへのすぐの復帰は難しいことは分かっています。ただ、その復帰の時期をじっと待つよりも、何か活動をすることで皆さんに認めてもらったり、もし元の場所に戻れたりした際に、いつでもしっかりと自分の力を発揮できる状態にしておきたいと考えていました」

 そう思って始めたのが、YouTubeだったという。開設したチャンネルは、人気ユーチューバーとコラボするなど話題性も高い。

「自分がやりたいことを、ある程度自分主導で表現できるところが、今の自分にぴったりだと思いました。しかし、それに伴う苦労や責任の重さを感じています。自分で『めちゃくちゃ面白い!』と思った動画が意外に再生数が伸びなかったり、内容はよくても動画のタイトルやサムネイルをうまく作らないと見てもらえなかったり。これまでの仕事でもいろんな人が工夫して、支えてくれてきたんだということを実感しながら日々勉強です」

 わずか半年で、登録者数は約104万人を数える人気コンテンツに成長した。ある程度は想定内だったのかというと、

「想定外でした……というよりも、みなさんの反応がまったく読めなかったので、想定のしようがありませんでした。それでもこんなに早く100万人突破というのは、うれしさと感謝しかないですね」。

 これまでのテレビやラジオの世界との違いについてはこう語る。

「みなさんの反応が全てコメントで見られる動画メディアは、ありがたくて、怖いですね。何より視聴回数がリアルタイムで分かります。そういった評価を踏まえながら、皆さんと一緒にチャンネルを成長させていく感覚を持てるのは、今までにないうれしいことです」

 ただ、このコロナ禍で、YouTubeの世界も影響を受けているという。

「なかなか外での自由な撮影は難しいですが、また旅ロケで各地の観光地を盛り上げたり、現地の人と触れ合ったりしたいですね」

 宮迫は、人気飲食チェーン「串カツ田中」の社長と自身のYouTubeチャンネルで対談したことがきっかけで、クラウドファウンディングのリターンとして、串カツ田中のネーミングライツを2千万円で取得した。7月の1カ月間、串カツ田中の各店舗は「串カツ宮迫」となり、話題を集めた。

「ネーミングライツを取得させていただいたことで、オリジナル商品も出そうと思いました。以前から愛媛県愛南町の養殖真鯛アンバサダーをつとめさせていただいてるのですが、これが本当においしくて。これを串カツのメニューにできないかと、串カツ田中の社長に直談判したところOKをいただきました」

 他にも、ファッション通販サイト、ロコンドのテレビCM出演など、周囲が思った以上に活動は順調だ。とはいえ、やはり気になるのは、今後の地上波への復帰や、かつて所属した吉本興業の芸人らとの共演についてだ。

「もちろんいずれも大きな目標なので、そこに向けてもがんばっていきます。また宮迫を使いたい、宮迫と一緒にやりたいと思ってもらえるようにがんばるのみです」

 最終的にはテレビの世界への復帰を目指すようだが、現在のユーチューバーとしての宮迫の活躍ぶりについて、人気バラエティーなどを手掛けるある放送作家は、「ちゃんとユーチューバーになったからだと思います」と語る。

「今、芸人さんがどんどんYouTubeに参入していますが、その多くが、コントなど、自分のもともとの芸を動画で配信するというもので、あくまでも芸人としてのフィールドの中でやっているもの。そこを宮迫さんは、ちゃんとユーチューバーのやるフィールドの動画に最初から取り組んだ。それは、プロの芸人にはプライドがあるからなかなかできないんです。宮迫さんは、『芸人がやっている動画』ではなく、ユーチューバーとして面白いことをやろうとした点。そこが受け入れられたんだと思います」

 そのフィールドの中では、やはり宮迫がこれまで培ってきた売れっ子芸人としてのスキルが物を言うことになったという。

「言い方は悪いですが、少し前まで一般人だった多くのユーチューバーとは、さすがにトークスキルのレベルは違いますからね。今までユーチューバーがやってきた内容でも、それをさらにレベルアップさせたものになっているわけなんです」

 YouTube以外のビジネスについては、

「今は身軽な状態ですからね。いろんなことが自分の判断ですぐに動き出すことができる。そのフットワークの軽さがいい方に作用しているのではないでしょうか」(同)

 そこで、芸人としても、個人事務所運営としても先輩である林家ペーさんに、宮迫の最近の動きについて聞いてみた。まずは芸人としての宮迫の魅力についてはこう語った。

「芸もトークもセンスがあって面白いし、歌もダンスも演技もなんでもできちゃいますからね。その実力はすばらしい。同業者としてもうらやましいですよ(笑)。人柄もいいし、闇営業問題も、もともとはその人柄のよさ、面倒見のよさからのものだったんじゃないんですかね」

 現在の活躍ぶりも、

「逆境に追い込まれながらも、何がウケるのかを見分けられるところがえらいね。僕はやっとツイッター始めたところだから。YouTubeって当たったらいっぱいお金がもらえるんでしょ? 宮迫君にやり方を教えてもらいたいところだよね」。

 ぺーさんは、実は大阪出身で、串カツにもなじみ深いことを明かしてくれた。

「赤井英和さんや笑福亭鶴瓶師匠、漫画『じゃりン子チエ』の作者はるき悦巳先生、直木賞作家の藤本義一先生(故人)の同窓生なんですよ、僕は。浅草の寄席に行くとき、いつも串カツ田中の前を通っていたから、串カツ宮迫にも行ってみたいなと思ってたところだったんですよ。名前を買っちゃうなんて発想はさすがだね、彼は」

 これからの宮迫へのアドバイスをお願いしたところ、ぺーさんは持ち前のセンスを発揮して、「串カツ」にかけてこんなエールを送った。

「悪いことをまたしない、二度しない。『二度漬け禁止』を心掛けてもらいたいですね!」

 パー子さんの甲高い笑い声、聞こえてきそう……。(本誌・太田サトル)

※週刊朝日オンライン限定記事